第5話 犯人
数日後、殺人容疑で逮捕されたのは、羽鳥だった。
俺を山奥の隠れ家におびき出したが、逃げてしまって、激高した緑川さんが羽鳥を呼び出したそうだ。
しかし、彼が行けないと答えると、「じゃあ、あんたを担当から外してもらうから!今度から〇〇デパートに乗り換える。もう来なくていいから!」と言われたそうだ。彼のノルマは月1千万ほどあって、緑小路さんはそのうち、200万くらいを買ってくれていたそうだ。枕営業で頑張って、何とか売り上げを作っていたが、それでも足りなかったらしい。それなのに、切られてしまったら、ノルマの半分くらいしか売れなくなってしまう。
その他にも、セックスやあそこの大きさを俺と比べられたことなどがきっかけになって、爆発してしまったそうだ。
2人は一夜を共に過ごして、さあ帰るという時になって、緑小路さんが「あーあ、やっぱり、江田君がよかった。また彼のこと連れて来れない?連れて来てくれたら、これからも沢山買ってあげるから」と言ったらしい。
それで、かっとなって殴ってしまったそうだ。
足がないからポルシェで逃げたが、怖くなって山の中に乗り捨てたらしい。
その車も後日見つかった。
彼は外商の仕事をしていて、売り上げに追われるあまり、自分を見失ってしまったんだろう。そういえば、彼は既婚者だった。子どももいたのに。住宅ローンもあったから、仕事をやめられなかったんだろうと思う。俺が警察に行かなかったらもしかしたら、彼が疑われることはなかったかもしれない。
ただ、今でも俺は悩んでいる。
崩壊してしまった家族と、亡くなったマダムのことが頭に浮かんでは消え、俺を苦しめ続けている。
俺が警察に行かなかったら、彼は捕まらなかったかもしれない。
ママ活 連喜 @toushikibu
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