近年のWeb小説ではなく、往年の紙で読むファンタジー小説を思わせる作風です。
風景・人物・心理の描写がしっかりされているので、作品世界へ容易に没頭できます。
また安易に最強になったりせず、丁寧に成長を描いていくので、バトルシーンもどうやって倒すのかハラハラしながら読みました。
今はまだ序盤ですが、大長編の予感。実際、文字数を見れば長編であることは確かなのですが、これは単に長いという意味ではありません。
序盤にもたくさん伏線や謎が仕込んであります。それがのちのち輝いてくるのだろうなと予感させる、長編を読むとき特有のワクワク感があるんです。
そしてもちろんキャラクターも魅力的。チート能力などなく地道に頑張る少女たちを、間違いなく応援したくなります。
一話のボリュームがそこそこあるので、ある程度時間のある時にじっくり読むのがおすすめです!
『異世界』ファンタジーというジャンルが、本来どういった物だったかを思い出させてくれる良作です。
皆様は最近のテンプレ異世界物をどう感じてらっしゃるでしょうか? 重視されるのは主人公の持つスキルの奇抜さや、どう気持ち良く成り上がるかばかり。
物語の舞台となる“異世界”は『ナーロッパ』などと揶揄される程に軽視され、ともすれば細々と世界観の説明をするのは悪手だとまで言われています。
しかし異世界ファンタジーの本来の魅力とは、非現実的な世界で出会う様々な風景やイベントなど、あたかもその世界を旅しているような満足感にこそあるのではないでしょうか(個人的な趣向)
この物語の真の主役は「ストラディア」という世界そのものだといえます。
序章で長々と世界観の説明が書かれている訳ではなく、主人公達と共に旅をしていくうちにそこがどんな世界であり、どういった文化が根付いているかを自然と肌で感じられる。それ程までに丁寧な描写がなされています。
“旅好き”の読者様に是非読んで頂きたい物語です。
まず、タグに「ハイファンタジー」とあるように、かなりガッツリと独自の世界観が練られた硬派な作品である事を伝えておきます。
迫力のある戦闘、「チート」という救済のない過酷な戦い、エステルとルリーテ、二人の少女の行く道はあまりにも険しくハードです。それでも各登場人物達が自らの目的の為に進んで行く姿は、凛々しくカッコいい!!!
そしてこの作品、何と言っても技などのルビが美しい……!!文字を見ているだけで一つの芸術の様にも感じられます。いやぁ、センスが素晴らしい!!(*´∇`*)
なお1話1話に重量感があり、尚且つこの作品内の専門用語が多いので、じっくり読む事をオススメします。
徽章術なる魔術をあつかう章術士の少女エステル。彼女の仲間の少女ルリーテ。そのエステルが何者なのか、ということが簡潔に描写されたプロローグによって、本作は幕をあけます。
プロローグは2話にわかれており、もう片方のプロローグでは青年セキについて語られています。
エステルとセキ。プロローグを読めばわかるのですが、このふたりは十年前に出会っています。そのときに、一緒に冒険をするなら仲間になるという約束をして、それを果たそうとすることで物語が動きはじめます。
そして、その物語ですが、非常によく世界観や設定が作りこまれており、冒頭から濃密なファンタジーの世界に入りこめます。
「中央大陸(ミンドール)」や「自然魔力(ナトラ)」「下位風魔術(カルス)」「下位火魔術(ヒルス)」などの作中に出てくる用語が、そうした世界観の構成の一助にもなっているのですが、個人的にすごいなと思わされたのが、これら用語に打たれたルビ(ふりがな)のネーミングのセンスのよさのみならず、ルビの意味がわからなくても、ルビをふられた漢字のほうを読めば、おおよその意味がつかめるようになっている親切設計です。
このレビューは1章まで読んだ時点で書いているのですが、同章ではエステルとルリーテがオカリナという村でクエストをこなしていきます。そこで展開される魅力的なストーリーと、仲間になる個性的な人物たち。
おそらくカクヨムに掲載されている小説のなかにあって、本作は一話におけるボリュームが多いほうの作品だと思いますが、内容が面白いので、ぼくの場合は苦もなく読み通せました。
すでに書いたとおり、このレビューは1章を最後まで読んだ時点でのレビューです。2章以降、この物語がどうなるのか、エステルとセキはふたたび出会えるのか、出会ったとしたら、どうなるのか、いまからとても楽しみです!
『パレット探求記』、おすすめです!!
章術士の少女エステルが、魔術士の少女ルリーテとともに、広大な世界を旅する物語ですが、オリジナリティ溢れる細やかな設定がなされています。
星や月の加護を得た魔力スキル、徽章術を発動させて戦うシーンが、オリジナリティがあって凄く綺麗だなぁと思いました。
エステルとルリーテも素直で気立ての良い少女で、頑張り屋さんなので、とにかく応援したくなります!
困難な課題もあるけれど、人々の助力を得つつ、努力してゆくエステルとルリーテ。
最初は少女二人のパーティで心細い中、旅先で出会う人々との交流が温かくて、ほっと心が温まるシーンもあります。
そして、新しい仲間とのめぐり合いも!
青年セトはエステルとの再会に若干不純な気持ちもあるようですが(笑)、成長したエステルに目を奪われること間違いないと思います!
この広大な世界を、エステル達と一緒に冒険している気分になれる素敵な小説です!
少女エステルと青年セキが十年前に交わした約束、『再会』を果たすために旅をする王道ファンタジーです。
エステルとルリーテという女の子たちの仲睦まじくも微笑ましいやり取りや、竜であるカグツチと共に旅をするセキという男のロマンも感じれるお話は必見!
一粒で二度美味しいのに、世界観の設定も細やかで、ネーミングセンスも非常にグッドです!
果たして二人は出会うことができるのか? 数話読んだ時点では若干セキの再会したい理由が不純な気がしなくもないですが、本当のところはどうなのでしょう? 逆に好感が持てていいアクセントになっているとは思いますが(笑)
ファンタジーな世界にどっぷり浸かりたい方はオススメです!