「お金」を巡るダイナミックな冒険ファンタジー

  • ★★★ Excellent!!!

文学、特にファンタジーの世界ではなぜか避けられがちな「経済」というテーマに真っ向から挑んだ、他に類を見ないユニークな小説です。
戦争と国の荒廃を背景に、木材の商売で一山当てようと画策する若い女性リツと、その護衛として雇われたタルワールの物語。
一見か弱い女性が戦争を背景に商魂たくましく活躍する話は、ブレヒトの『肝っ玉おっ母とその子どもたち』を思わせますが、この物語は終盤にアッと驚く仕掛けが待っています。
剣や魔法が無くても経済×地政学の知識によってこれ程壮大な心踊る冒険を描ける事を再確認させられます。
と同時に、現在の社会情勢に関連して深く考えさせられる物語です。
中央アジア圏という、ファンタジー小説ではやや取り上げられる事の少ない地域の、歴史や政治、文化にも興味を掻き立てられる作品となっています。

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