第10話 エピローグ

  次の日の午前中、丘頭警部は佐藤刑事を連れて、警察病院に入院している津川敦子を見舞った。静かに寝ているように見えた。

 一瞬、津川敦子が喋ったのか?声が聞こえた。 「川岸徹と阿蘇木可憐と隅田礼子を殺したのは私です。迷惑をかけて済みませんでした」 警部にはそう聞こえた。

佐藤刑事もそう聞いた、という。

 数瞬の間があって、ベッドの周りの機械たちが一斉にアラームを鳴らした。

看護師や医師が何人も飛び込んできた。警部らは外に追い出された。

 30分して病室からでてきた医師が津川敦子の臨終を伝えた。


*


 丘頭桃子警部の話を訊き終わって、一心は悲しい事件だが、それより女は恐ろしいとつくづく思った。

思わず事務所の神棚に手を合わせた。

皆も、続いた。

 一心がソファに腰を下ろして、ふーっと大きくため息をつく。

ふと視線を感じてソファに戻ってくる静、 美紗、桃子をみると、三人とも顔に、モナリザの微笑み、を浮かべて俺を睨んでいる。

まるで、

男が悪い。男のせいだ!

そうだ!お前も男だ。お前のせいだ!

と言わんばかりの眼差しに、背筋にひ やりと寒気を感じ、ブルルと身震いをした。

     

         完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

幽霊のあし きよのしひろ @sino19530509

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ