第9話
現場の刑事から阿蘇木可憐が最期に「私と、礼子で孝介を殺した!許してぇ!ごめんなさい!」と叫んでい たと聞き、礼子は隅田礼子。孝介氏の愛人だと気付いた。 佐藤刑事ほか数名の刑事と隅田のマンションに向かった。
深夜の2時を回っていた。 現場に着くと、1台のパトカーが赤色灯を回して止まっていた。 急いで隅田の部屋に向かう。廊下に誰かが吐いた痕跡が残っていた。
丘頭警部は腹をくくって部屋に入る。 部屋の中は悲惨だった。壁、床、天井が血だらけ。遺体は誰か分からない程損壊していた。女性らしいことは 遺体に付着していたボロボロになったネグリジェと長い髪の毛で分かった。 丘頭警部が現場にいた警官に話を訊くと、1時過ぎにドタンバタンという音とキャーとかギャーとかいう悲鳴、 呻きが騒がしくて管理人が呼ばれた。余りに酷い物音や悲鳴にすぐ110番したらしい。警官は110番から10分程できた。到着したときには、まだドタバタ音がしていた。警官も部屋に入って飛ばされる人を見た。 有り得ない飛び方だったという。音がし始めてから1時間近くそれは続いたらしい。人が壁や天井、床に叩き つけられた。そして顔で床、壁、天井を削り取るように擦り付けられていて、その跡を血と肉片が教えてくれ ていた。余りの激しさに手の出しようが無かった。その時には悲鳴もうめき声も無かったという。
それからその人が床に叩きつけられて動かなくなった。警官が近づいてみると、顔は潰れて眼球が床に転が り、顔の皮膚や肉がえぐられてとても人間とは思えないほど、血と肉がぐちゃぐちゃでどひどかった。手足は 操り人形のようにあり得ない曲がり方をしていた。片腕はもげて部屋の隅に転がっていた。部屋はどこもかし こも血だらけで、肉片がこびりついていた。強烈な死臭に警官も管理人も廊下に飛び出して吐いたという。
さすがの丘頭警部も吐きそうになったが、堪えた。ひどい臭いだ。
間違いなく殺人事件だった。が・・・
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