エピローグ

 異空間の風景を眺めながら響香とのやり取りを思い出しつつ世界を移る。

 部屋に帰ってくるといつもの通り妹神が待ち構えていたのだったが、その姿はいつものとかわっていた。


「いやー、おかえりー」

「う、うん、ただいま」

「おめでとー、一人目の妹ちゃんを攻略ぅ……じゃなくて、救いましたね」


 いま攻略って言わなかった? この神様。神様だから見えているものとか感性とか違うのかもだけど、そんな軽いノリで言われても困るのだけれど。こちらに戻ってくるまでの間感じていたセンチメンタリズムな感情が薄れていくの感じた。


 ついさっきまでは妹神のひと目で分かるほどの見た目の違いで強い違和感を覚えていたのだけど、口を開けばいつもの妹神だった。少しだけ安心したしたけど、本当にこれでいいのか、神様。


「さてと、それによって妹力が溜まりました。残りは8人頑張っていきましょー、えい、えい、おー!」

「お、おー……」


 一応は僕の妹のために動いてくれているらしいし、合わせておきはするが、なんだこれ。

 いつもの様子に少しずつ違和感は無くなっていくのだが、それと同時に彼女の見た目の変化 の理由が気になってきた。まさかただのイメチェンではないだろうし。

 でも、これは多分聞かなきゃ教えてくれないやつな気がする。


「そ、そういえば」

「うん、なにかな、おにいちゃん」

「どうして髪の毛そんな感じになっちゃっているの?」


 彼女の真っ白だった髪の毛の左半分が茶髪になっていた。たとえイメチェンだとしても大胆すぎるし、意味も良く分からない変化だ。一体何があってそんな状態になっているんだろうか。

 僕が髪の毛の変化を指摘すると、妹神は服の中から手鏡を取り出して自分の顔を見始めた。あまりにもいつも通りだなと思っていたけど、もしかして気づいていなかったのだろうか。


「ああ、これ、これは……うーん、なんだろうね」


 髪の毛をいじりながらそんなことを言う妹神。いや、なんだろうねはこっちの台詞だとおもうんだけど……。


「そうだねー、たぶん妹力がチャージされた副作用というかそう言う感じものだと思うよ」

「ええー……」


 なんで本人にも分からないだろう。

 あやふやであいまい過ぎる答えを貰って言葉が出てこない。これなんて返したらいいんだろう。というか、この神様、本当に大丈夫かな。今後を考えるとすごい不安なんだけど。


「あー、こいつ頼りないなー、って思ったでしょ」

「い、いや、そんなことはないよ」


 頼りにはしているし、頼れるときは頼るつもりはある。信用が少し減っただけで。

 こういった考えが顔に出ていたのか、妹神は言い訳をするように早口でなにかを説明し始めた。


「これは違うんだって、私だって人の前に表れる用のボディのなんて初めて使うんだから、よく分からないことだってに決まってるじゃん。大体ね、神様は普通人の間に姿を表したりはしないんだから、その辺りは分からないこと一杯だって仕方ないでしょ」


 言い切ると「ぷんぷん」と口で言って、両手で頭に角を生やして分かりやすく怒っているというジェスチャーをする。すごい理論だし、謎の強気だ。


「まぁ、私の髪の事はいいの、それよりも一つ目の世界がどうだったのか、おにいちゃんの話を聞かせてよ」


 露骨に話題を変えようとしているのは分かるけど、本人もよく分かっていないことを追及しても仕方ない。報告も兼ねて素直に話題を合わせよう。


「あーはいはい、うん」

「あ、それと、二つ目の世界もよろしくねー」


 と、まぁ一仕事というか、一つ目の課題を終えたばかりではあるが、延長戦……彼女とのおしゃべりタイムが始まった。


 バッグに入れたいた思い出を机の引き出しにしまってから、僕は妹神に向き合った。

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