砂糖菓子が飛び交う第四次大戦

「第三次世界大戦がどうなるのかはわからないが、第四次世界大戦で人々は石と棍棒を武器に戦っているだろう」といったニュアンスの言葉を、読後に想起する渾身の一作。

例え兵器がマシュマロに変わっても、殺意や憎悪がマシュマロに包まれても、我々はどこまでも人間であって、それ以上になることはできない。それを象徴するように人々は世界の変容に振り回されながらも順応し、いつしか異常が異常であったことも忘れていく。

世界はマシュマロのように甘くはない。例えあらゆるマイナスの感情がマシュマロに包まれたとしても、人々は心ある限り、憎悪という火を消すことができないのだから。

そんな世界に、主人公も抗うのではなくまた順応していく。青春というモラトリアムの中で、特別だったものをただ一欠片だけ胸に抱いて。

それがなにであったのかは、是非とも読者である皆様の目で確かめていただきたい。軽妙でありながら重たい不思議な読後感は、さながらマシュマロに包まれているようだった。

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