第9話 かけがえのない宝
「私、自分の幸せを考えようと思うの。」
その2年後、ふいに
「転勤することになったんだ。その前に君にだけは連絡しておきたかった。」
と言った。
「そうなんですね。お疲れ様でした。お世話になりました。お元気で。」
と答えた。それ以上はお互いに何も言わなかった。
この瞬間にもあの時の感情が鮮明に蘇る。残り香もまだ記憶に残っている。あれほど恋焦がれる人にこの先出会うことはないし、この激しく切なくも抑えた感情は二度と味わうことはないだろう。そのことを彼に感謝しながら、私たちは別々の道を生きていく。正々堂々と。
ご拝読、ありがとうございました。
好きとは言わない 小田カオリ @airaroma
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