それは新たな希望となり、この地を潤す

不完全な世界を変える希望。
それは、いつも決まっている。
だが、不足している。もっと必要だ。

短編を通して紡がれる、実存的なものの在り方と概念。そして、それらを冠する存在たちと行為。私たちの生きる世界。はたまた異世界。そういったものの根本に『転生』という観点から歩み寄った、独創的な作品だと思いました。

流れるような文章に誘われるまま読み進めれば、たしかな充足感を得られます。それでも、構いません。でも、もう一周するなり、熟読するなりしてみてください。また違ったものが、見えてくるはずです。

昨今の流行の中では、あまり注目されないジャンルのファンタジー小説ではありますが、読み逃すには惜しい一作です。