第10話 迷宮伝説
「猫耳着けないの?」
「そうね、防御力も向上するみたいだし装備しておくわ」
イナリに言われて、メイはとりあえずとばかりに猫耳カチューシャを着けました。すると、メイのお尻にポンッと尻尾が生えました。
「おい、尻尾が生えたぞ」
「にゃにゃ!? どうなってるにゃ!!」
「おいおい、言葉遣いがおかしいぞ」
「にゃにゃにゃ!? なんでにゃ!?」
ナナが冷静にメイの変化を指摘していくたび、メイは驚いて猫のように尻尾の毛を逆立てました。
すったもんだしましたが、猫耳カチューシャはしばらく外せないと知ると、メイは大きく溜め息をついて諦めたようです。
「剣が猫耳になってしまったにゃ。一から新しい武器をつくるにゃ」
「私も一から別の魔剣をつくろうと思う」
「2人とも頑張れ~」
イナリの応援を受けて、2人は一から武器を鍛え始めました。
猫耳を外したがっていたメイでしたが、動きが格段に良くなったからなのか、それとも猫耳をピコピコ動かしたり尻尾をゆらゆら揺らすのが気に入ったのか、いつまでたっても装備を外すことはありませんでした。
何日も何日もかけて、ようやく魔剣が出来た頃、腕輪のチャイムが鳴りました。
「新しいミッションが現れたにゃ!?」
「なに!? 更にミッションがあったのか!?」
「まだまだあるよ」
「「……」」
新ミッションの知らせに、メイとナナが驚いていると、イナリが、まだまだミッションがあると言い、2人は無言で顔を見合わせました。
「「なんだか狐につままれた気分だ」にゃ」
「こうかい?」
「「痛たたた。夢じゃない」にゃ」
2人とも、イナリに頬をつままれ、正気を取り戻すのでした。
そして、新ミッションを確認します。
『聖なる泉で武器を鍛えろ!』
「聖なる泉って、どこにあるにゃ?」
「ダンジョンの深層にあると聞いたことがあるな」
「早速行くにゃ!」
「待て、仲間を増やして装備を整えないと無理だぞ」
「そうにゃ? なら準備するにゃ!」
「深層の魔物は強力だ。かなり厳しい戦いになると思うぞ」
ダンジョンの深層域の危険を知っているのでしょう、ナナは険しい表情で顎に手を当て、難色を示します。
「聖剣ができるかもにゃ」
「よし、行こう!」
メイの一言で、ナナは途端にやる気になったようです。
新たな武器を鍛える為に、メイとナナは、仲間を募りダンジョン深層へと挑む準備を始めるのでした。
◇
◇
◇
いつしか、猫耳メイド姿の鍛冶職人が、仲間と共にダンジョン深層へ引きこもり、とんでもない性能の武具やマジックアイテムの数々を作っていると、まことしやかに噂されるようになるのでした。
そして、後の世で『猫耳メイドの鍛冶職人』というダンジョンあるある伝説が語り継がれることになるとは、メイには知る由もないのでした。
メイドインダンジョン すずしろ ホワイト ラーディッシュ @radis_blanc
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