この(サイバーな)世界の片隅で

サイバーパンクと聞いて、サイバーパンク華やかなりし頃を知る諸氏はどのような内容を想像するだろうか?

電脳、サイボーグ、ニードルガン、遺伝子培養が巷に溢れまくり、企業国家の下酸性雨が降り頻る中で「二つで充分ですよ」と言い張るジジイに、イカっぽいのが乗った多分うどん?を啜りながら、全裸姉ちゃんのサイボーグが高層ビルからダイブするのを眺めるアレか。

で、なんか凄いデカい企業の秘密を巡って非合法の裏家業専門の人間がハッカーと手を組んで、世界のタケシがポン刀と銃でキアヌ・リーブスを追いかけるアレか。

はたまた、空きチャンネルに合わせたTVの色の空の下。クズ鉄町のゴミ山の中サイバネ闇医者が理想の着せ替え人形を……いや、もうやめよう。多分カクヨムにいる奴の大半はこのネタ解る奴はいないだろう。

わかった君は、まぎれもなくおっさんだ。

つまり、サイバーパンクとは電脳やサイバネ技術が広く普及した世界を舞台にした話なのである。

では、この話は一体何か? そうサイバーが普遍的になった世界で、主人公は片田舎に引っ越して町おこしをするのだ。


でもただの田舎じゃない! 山には戦時中に野生化したアンドロイドが熊とか猪感覚でいるし、町に住むジジイを捕まえれば大抵は戦争の生き残りだ。
若いお姉ちゃんは遺伝子改造されていて、下手したら百いってるぞ。
農具の横には鍬と鋤に続いてレールガンが置いてある。


そういうサイバーに対する描写が半端なく魅力的な作品である。
恐らく上の分の元ネタがある、サイバーパンク秘孔を持つ一般サイバースペース・カウボーイにはこれはたまらん作品である。

色ものと見るなかれ、これは紛れもない傑作である。
しかも高校生描いてんだって、マジかよ?

さ、わかったらコケモモ食って日陰飲もうぜ。

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