概要
この諺を知っていますか、池に海水魚
因みに、池に海水魚、という諺は存在しません
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!淡水に馴染めないまま生きる海水魚=「私」の、切実な居場所考。
なにやら新しいことわざの誕生の瞬間に、私たちは立ち会っているようです。「池に海水魚」は「いけない」ことであり「ありえない」「おかしい」こと、と冒頭に用例が述べられ、読者はまずちょっと「夢十夜」ふうのシュールな池の世界に誘いこまれます。散文的な語りの中、池の管理方法のていねいな描写とともに池の周りの世界(猛暑、投げいれられる氷、服が孕む風)が徐々に見え始め、その展開のリズムの心地よさに、池と「私」の様子をずっと見ていたくなります。
が、この作品の見どころは後半の展開。読み進めると、「池に海水魚」の視座は池を覗きこむ者の側から池に棲息する者の側へとぐるりと反転して、それが「息苦しい」ことの喩で…続きを読む