最終話 月が照らすもみじの葉
_____このままではもみじ谷が再び崩壊してしまう。
「……どうしたらいいわけ。」
絶望しているラムネのもとに、一人の見た目幼い少年が現れる。
「やあ」
「ボクはナル=ニル。」
ナル=ニルと名乗った少年はつらつらとこう語り出す。
「ボクの部下であるルーシャンとリズ、そしてCrysis Xが迷惑をかけたね」
「謝罪するよ。」
「だけど」
「もみじ谷はもうおしまいだ」
「直に崩壊する。これもボクが仕込ませたことだ。」
そんなナル=ニルに、ラムネは怒り出す。
「はぁ?アンタが元凶で黒幕なわけ!?」
「許さない」
「絶対に許さないわけ!」
「もう手遅れだ」
「だから」
「大人しく月の世界へと行くべきさ。」
_____
全ての元凶、ナル=ニルの発言に、ラムネは絶望していた。
やっと自分の居場所を見つけられたのに。
やっと、もみじ谷でみんなと分かち合えたのに。
そんな中、Crysis Xはラムネの手をとる。
「ラムネ」
「もう何もかもおしまいだから、さ」
「一緒に月の世界に行こう。」
絶望し、狂い始めてるラムネは、もう抗うことすらできない。
「……」
「センヘル、サニー、フェリ。」
「ボクのことはもういいから、せめてアンタたちは逃げて。」
「もう長くないもみじ谷に残って。」
「……わかりました。」
_____
サニー一同がもみじ谷に戻った時。
既に、もみじ谷の姿は完全に白紙となっていた。
シャルドーネの本拠地も、ミナル大学病院も、座礁船も何も無い。
「……えっ」
「どうし……て……」
「……なにもかも、無くなってる……。」
_____
絶望した三人は、苦渋の決断をする。
「ねぇサニー」
「オイラたちも……逝こうッス。」
「……はい。」
「あたしも……賛成、かな。」
_____
そうして、三人も月の世界へと行くことになった。
「……アンタら」
「どうして、もみじ谷に残らないわけ?」
「……いまなら、ラムネの諦めた気持ちも分かってさ……」
「だから」
「あたし達も月の世界に行くよ。」
四人の決断を聞いていたナル=ニルは、早速月の世界への門を開く。
「それじゃあ」
「ゆっくり、おやすみ。」
_____
月の世界。
四人は、最期の楽園へと辿り着いた。
「やあ」
「ようやく決断できたんだネ」
「ここは、本当に悲しみも苦しみもない世界だから、ずっと一緒にいよう。」
「あは、あはは」
「師匠たちと一緒にいられるなら」
「月の世界も、悪くはないわけ。」
_____
もみじ谷が完全に崩壊したところで、ナル=ニルは一つの宇宙儀を机に置き、コーヒーを飲みながらこう呟く。
「これで、これでよかったんだよ。」
_____
ラムネは、再会した師匠と手をとりあいながら、こう呟く。
「案外、さ」
「ボクの理想はさ」
「ここにあったのかもしれない、ね」
_____これで、本当の本当におしまい。
ぽーちどえっぐ!つくりなおし ノア @noa_zarusoba
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