第5話 世界から消えたモノは語る
_____一通り、復興が完了した!
そう喜んでるのも束の間、急に世界に、空に、ヒビが入った。
「…えっ」
「ちょっと!?どういうわけ!?」
慌ててる間にも、ヒビはだんだんと大きくなってゆく。
「ちょっと
ラムネがそう叫ぶと、空に沈んでいる病棟からCrysis Xは姿を現す。
「やぁ、待たせたな。」
「ちょっと……このままだとあのヒビはどうなるわけ?世界は復興した筈なのに。」
「君たち、君たちは間違っている」
「間違っているけど、間違っていないんだ。」
「それ……どういうわけ。」
Crysis Xの矛盾を抱えた発言にラムネは戸惑いを隠しきれない。
「まぁ、真理を知りたければ、私の元に着いてきな。」
「……とりあえず、わかったわけ。」
_____
ラムネ一同が逆さまの病棟に入ると、かつて居た雫にそっくりな少女が姿を現した。
「初めまして、デスネ。」
「私はリズ。雫のドッペルゲンガーデス。」
リズは、表情を一切崩さずにつらつらと話し続ける。
「貴女方か作り直そうとした世界は…」
「嘘と偽りの世界なんデスヨ。」
「このまま偽りの世界になれば、直ぐに世界は崩壊してしまいマス。」
リズはそう警告したが、もう何もかも手遅れだ。
「……は?」
「それじゃあ、師匠が渡した復興のかけらは」
「あれは、偽りの復興のかけらデシタネ。」
「……は?」
「は?は?は?」
「ちょっと意味がわからないわけ。何で師匠がそんなものを」
そこで突如、Crysis Xは姿を現しこう口を挟む。
「ああ、ああ、あーあ」
「バレちゃった、かぁー。」
「……?」
「どういうわけ?」
「君たちが偽りの世界を作って壊してくれたら」
「君たちが消えてくれたら」
「私たちと同じ世界に住めたのに。」
困惑しているラムネに、Crysis Xは衝撃的な発言をした。
_____
「ラムネラジオ、君は私が生前語った月の世界って覚えているかい?」
「あっ……確か、死人が行き着く先だったかそんなやつなわけ。」
「その通り。」
「私は、君たちが月の世界に行けるように」
「もみじ谷を壊してもらおうと仕組んだのさ。」
_____
月の世界
もみじ谷から、本当の本当に命を失い、魔力も何もかも失った人達が行き着く、最期の楽園。
もみじ谷とは基本的にもみじ谷を守る層で隔てられている。
_____
「…師匠」
「ごめん、その話には賛同しきれない」
「ボクは、ボクが大好きなもみじ谷を本当に復興させたい、から。」
「ふぅん?」
「でも、もう長くはないよ、あっち側の世界は。」
そういい、ラムネとCrysis Xはもみじ谷が今どうなってるか、鏡経由で見た。
……そこには、建物も、地面も、空も何もかもヒビだらけになっていた世界が写っていた。
_____もみじ谷、どうなっちゃうんだろうね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます