第9話 AIの即断の恐ろしさ

「こちらゼロ1。アルファチーム応答せよ」

「こちらアルファチーム。どうかしましたか?」


「北口には最新鋭の大口径の回転式ガトリングガンが

あるようだ。煙幕を使い北東へ移動しろ」


「了解、ゼロ1。これより移動を開始する」


爆破班に破壊された位置に煙幕で見えないが、大口径の

回転式ガトリングガンが狙いをつけて待っていた。


「こちらアルファチーム。移動完了。指示を求める」

「こちらゼロ1。爆破班により北東の角にあったセントリーガン

の脅威は無くなった。回転式ガトリングガンは手動モードか

自動モードしかないが、位置的に手動モードは有り得ない。

空の弾倉を複数投げ込み、自動モードかどうかの確認をしてくれ」


「こちらアルファチーム。了解した。これより確認を開始する」


AIにとって、ゼロ1のリーダーであるサラは、脅威だと判断していた。

的確な指示を出し、ここまでやられた事は、

今まで一度も無かったからだった。


脅威である者を最初に狙い、失敗に終わると全ての作戦が終了する事を

AIはしっかり理解していた。その為、まずは邪魔な他のチームを

如何に自分の存在がバレる事無く削っていく作戦を立てていた。


「こちらアルファチーム。ゼロ1チームの言う通り、煙幕があって見えないが

撃たれた音や形跡は一切無い。次の指示までここで待機する。以上」


AIは一番邪魔なのは南口のスワット部隊だと理解していた。

しかし、東口にはサラが率いるゼロ1チームが配置されている為、

安易な行動はせずに、出来るだけ多くの脅威を取り除こうとしていた。


「こちらゼロ1。了解した。他の部隊にも移動を命じてから、突入を開始する」


—————————————

「ガレッド様。こちらは順調に事を運んでます」

「後どのくらいかかりそうだ?」


「後10分ほど頂ければ逃走可能になります」

「全滅させるのは厳しいという事か?」


「はい。その通りです。今回のリーダーである

サラは他の隊員たちよりも有能です」


「排除せずにここに突入させて、ガトリングガンで

殲滅予定ではありますが、絶対とは言い切れません」


「わかった。10分後にまた報告をいれろ」

「わかりました。西のビルへの移動は既に可能な状況に

しましたので、出来るだけお静かに移動をお願いします。

南口にはまだスワットがいますので」


「分かった。今から移動だけしておく」

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俺を逃がせ!! 春秋 頼 @rokuro5611

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