第8話 アジトの陥落

「おい! 完全自動モードにして逃げるぞ」

ガレッドは一階にいる二人の手下に、二階から覗き込んで話しかけた。


「俺達は残って時間稼ぎをします」

二人ともすでに話し合ったらしく、覚悟の目をしていた。


「ここはまだ死に場所じゃねぇ。これからが大変だ。分かったら、

とっとと完全自動に切り替えて上がって来い!」


手下は確かにそうだと理解したのか、すぐにオートモードに切り替えて、二階へ上がって行った。


切り替えた瞬間、すぐに煙幕が張られた。高度なコンピューターは

何が必要なのかを直ぐに察知して、行動に移した。アジトの室内にいる人間を味方と

認識し、外部から侵入する者を敵と認識した。


手前の左右の床からポールのような長くて太いものが出て来たかと思うと、

その先には、先ほどまでのセントリーガンとは比較にならない程の、

大きな口径の回転式ガトリングガンが取り付けられていた。


縦横無尽に360度死角の無いよう先端にはガトリングガンに丸いボールのようなものが取り付けられ、敵が装甲車でもヘリで来ても、撃ち抜く事が出来るように不落の要塞になっていた。


完全自動に切り替えられ、煙幕を張ったのは熱源を起動する為であった。AIは先ほどまでいた4人とは別に、今までと変化の無い熱モニターに、待機しているのであろう敵が映るように熱源を作り出した。


点在する熱源を高度なAIは既に探知していたが、攻撃はまだ仕掛けなかった。仕掛けるのなら、主たちが逃走した時だと、認識していた。


それにはまず北口にいるスワットを殲滅させる必要があった。

奴らを排除した後に、隠し扉から隣の建物に移動するために。


AIはまず、スワット部隊の無線の周波数を探り、情報をかく乱させる為に、

スワット部隊全員の声を拾い集めていた。完全自動のAIモードになる前から

AIは完全自動機能になっていないだけであった為、それは容易いことであった。


リーダーであるサラのいる部隊以外のスワットの周波数を切り替えて

サラの声を使って命令を下した。




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