剣の遊戯

この物語は、遠い昔、東方の島国で起きたとある戦争が題材になっています。その時代の東方の資料は非常に貴重で、この作品は物語の形をとっていますが、歴史的資料として充分に価値があります。今では噂にものぼらず、せいぜい古い詞や歌に出てくるに過ぎない、「シタカ王国」や「聖剣」が全盛期の時代で、それらが歴史や国の中でどういった立ち位置にあったのかをうかがい知れます。また、当時の人々が歌っていただろうと思われる歌も載せられていて、物語に深みを与える重要な要素となっています。
とはいえ、時代背景は壮大であるものの、物語の中心を占めるのはシズ・ボーンという一人の少女の揺らぎです。争いや殺しを嫌う優しいシズが、殺戮の象徴である聖剣と出会うことで、自分が抱く思いと、周りが持つ正反対の常識との間で苦悩し、うまく抗い…続きを読む