5.コボルト討伐
コボルト、オークがいるのはヒーロイ平原。街の東門を抜けた先だ。
障害物がないので魔物が沢山見えるが、何故か奴らは近くに来た人間しか襲わない。
遠くで戦っているのが見えても、よほど好戦的じゃないなら無視するのだ。
コボルトはざっと見ただけでも10体以上は確認できるが、オークは見えない。もっと奥に行かないと居ないのかもしれない。
先にコボルトを狩ってしまおう。言ってしまえばオークの前座でしかないが、油断はしない。
それに、
危険そうだったら白雪に助けてくれるようお願いはしてあるが、絶対は無い。慎重に行こう。
コボルトは、装備を自分で作って使うのでゴブリンより強いとされているが、ステータスを見れば大して変わらない。
しかし、コボルトはゴブリンと違い、群れで行動する。連携は上手くないが、単純に数は強い。
ただでさえ私はソロだから余裕が無いのに、相手が2体3体となると厳しい。速攻で1体は沈めて、流れで2体目も倒せたらラッキーぐらいで考えておこう。
3体の群れのコボルトを見つけたので、他の魔物と接触しないよう気をつけながら向かった。
装備はどれも皮の鎧を着ている。頭は何も無いから狙うなら首だろう。武器は斧、剣、弓だ。めんどうな弓から潰すか。
左手に白雪、右手に暗鬼を構えて走る。二刀流は初めてだが妙にしっくりくる感じだ。
コボルトと5mぐらいの所で気付かれたが動きはそこまで早くない。走る勢いを殺さずに首を切り裂く。
まず1体。一撃で殺せるとは切れ味がいいな。
近くにいた剣持ちに切りかかるが、さすがに剣で防がれてしまう。だけど、私は二刀流だ。
「!」
空いた左手でがら空きの喉に白雪を突き刺す。ずぷりと嫌な感触がした。これで2体。
すぐに白雪を抜いて振り上げられた斧を防ごうとした。
「なっ!」
白雪が折れた。斧に抵抗なく砕かれ、危うく私にも当たりそうだったので後ろに飛ぶ。
白雪の脆さに驚いていると、折れた所から新たな刀身が生まれた。
まだ混乱しているが、白雪がまだ使えることが分かれば十分だ。鈍い斧持ちに手数で押し切り、首を切った。
これで3体。初見にしては上手くいったと思う。
コボルトの魔石を袋に入れて、白雪と暗鬼を鞘に戻す。
暗鬼は鞘から出すと常にMPを吸い取るようで、1分に1MP奪われていると思う。
白雪が刀身を作るのにMP3使ったと思う。意外に〈直感LV1〉の感覚は便利だ。
MPは残り8しかないが、0になると危険だと〈直感LV1〉が言っているから白雪は残り1回しか再生出来ないな。2回だと暗鬼に取られる分で0になる可能性が高い。
出来るなら1回も再生したくないが、上手くやるしかない。
またコボルト3体の群れを見つけた。やはり全員鎧を付けている。武器は斧、剣、剣だ。剣を先にやろう。
さっきと同じように奇襲をしかけ、剣持ちの首を切り裂く。まず1体。
若干だが白雪の切れ味が上がっている気がする。刀身が生え変わると強くなっていくのだろうか。
そのまま2体目に切りかかろうとしたが、剣持ちと斧持ちが左右から来ているのを見て下がる。
そのまま追ってきたがまた後ろに下がったところでこの状況は良くならない。なら!
「ここだ!」
剣と斧の隙間を通って前をくぐり抜ける。2体とも対応が遅れているうちに首を掻っ切ってとどめだ。
コボルト達が煙になって魔石が落ちた。これで3体。
あと4体。この調子で魔力を温存したいけど、今みたいな曲芸が毎回上手く行くとは思えない。無理はしないようにしよう。
2体のコボルトを見つけた。群れと言うかペアな気がするけど。ただ、数が少ないから楽というわけでもなさそうだ。装備はいつもの鎧に剣持ちと杖持ちだ。まさか魔法を使うのだろうか。
他のコボルトとは違って顔つきに自信が見える。何度も勝ち抜いて生き残ってきたんだろう。
強い敵と戦ってこそ成長する。ステータスは裏切らない。よし、あのコボルトたちは私が殺す。
まずは厄介そうな杖持ちから狙う。近くまで走った時点で気付かれるがそのまま首に暗鬼を…
「っ…!」
杖で弾かれた!?
気付いてからの対応が早い。やっぱり他のコボルトトは違う。ただ、私には白雪がある。
白雪で首を狙うが、弾かれて無理な体勢から狙ったせいか浅くなった。
まだ死んでない。杖持ちに追撃をしたいが、剣持ちも黙っていない。
剣持ちの攻撃を白雪を壊さないように受け流しながら何とか捌いて隙を見つけると、今度は杖持ちが邪魔をする。杖を私に向けて構えて、杖の先から火の玉が飛んでくる。
「邪魔くさいなっ」
杖もちのMPが尽きるまで待っていたら先に私のMPが暗鬼に吸われ尽くしてしまう。
ここは無理にでも攻めに出ないといけない。杖持ちは今魔法を使ったばかりだからすぐには打てないはず。
強引にでも剣持ちを殺そう。剣持ちの剣を受け流しつつ前に出る。受け流しきれずに足が切られるが無視する。
「ッ!」
剣持ちは怯えたように後ずさるがもう遅い。そこは私の間合いだ。
剣持ちを切ってすぐに杖持ちに向かって走る。切った感触から剣持ちが致命傷なのは分かっている。あとはお前だけだ。
杖持ちが火の玉を打つが先程よりも弱々しく速度も遅い。避けるのがめんどくさかった私は暗鬼でそれを切る。魔法を切る感触でまた私は強くなったと感じる。
呆然としている杖持ちを切って息を吐く。
「ふぅ」
ギリギリの戦いだった。あそこで攻めなければ私は死んでいたと思う。この世界は死んだら終わり、二度と遊ぶことは出来ない。そしてこの記憶も現実に持っていくことは無い。
ここでの私が死んだも同じだ。それは耐えられない。
「私は、生きる」
コボルトはあと2体。魔法を切り、ゾーンに入っていた私には普通のコボルトの群れ程度敵ではなく、サクッと倒して帰った。
さすがにこのままオークと戦うには体がキツイ。今日は体を休めて明日挑もう。
―――クエスト―――
目標:コボルト10体の討伐
報酬:3000Y
状態:達成
――――――――――
―――ステータス―――
N:リル
J:冒険者
LV:1
HP:3/14(3up)
MP:2/16(4up)
B:2
STR:15(2up)
INT:12(1up)
AGI:14(4up)
DEX:15(3up)
SKILLS
〈ステータスLV1〉〈魔物図鑑LV1〉〈直感LV1〉
〈黄魔法LV1〉〈隠密LV1〉〈体術LV1〉〈投擲LV1〉
new
〈二刀流LV1〉〈剣術LV1〉〈強襲LV1〉〈瞬足LV1〉
〈威圧LV1〉〈断魔LV1〉
―――――――――――
擬似デスゲームVRMMO【ラボアピナ】 小者 @zyouki
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。擬似デスゲームVRMMO【ラボアピナ】の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
マトリョーシカ/小者
★0 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます