4.武器

 ログインすると、昨日は宿ですぐログアウトしたことを思い出した。圧倒的な存在への恐怖ですぐに寝てしまったが、今は落ち着いている。


 はじまりの森であの強さのモンスターがいると言うなら、私は早急に強くならないといけない。

 今後の指標を立てるためにも、ステータスを確認しよう。


 ―――ステータス―――

 N:リル

 J:冒険者

 LV:1

 HP:11/11(1up)

 MP:12/12(1up)

 B:2(1up)

 STR:13(3up)

 INT:11

 AGI:10

 DEX:12(2up)


 SKILLS

〈ステータスLV1〉〈魔物図鑑LV1〉〈直感LV1〉

〈黄魔法LV1〉〈隠密LV1〉〈体術LV1〉〈投擲LV1〉

 ―――――――――――


 STRが1番大きく上がっているのは、昨日の戦いのほとんどが殴り合いだったからだろうか。となると、DEXが上がっているのは隠密、投擲などに関係してるからか?DEXは器用さといったところか。


 スキルは新しく〈隠密LV1〉と〈体術LV1〉と

〈投擲LV1〉を獲得したようだ。行動しだいでスキルを獲得できるのなら、色々試してみるのもいいかもしれない。


 とりあえずの目標としては、私のLVを2に上げることと、スキルの数を増やしつつ、スキルレベルを2に上げることだな。

 Lvを上げるにはどうすればいいか分からないが、レピィの言っていた、満遍なく全てのステータスを上げる、ということが関わっている気がする。


〈黄魔法LV1〉を使いつつ、AGIも上げることを今日の目標に設定しよう。


 今の私の所持金は、スライムの魔石代100Yと昨日のクエスト達成報酬3000Yから宿代1000Yを引いて…2100Yだ。

 ギルドで魔石を売ったら武器屋に寄ってみよう。


 宿で朝食をとり、ギルドでゴブリンの魔石を売ると10個で2000Yだった。売る時に武器屋について聞くと、新米冒険者用の安い所を教えてもらった。

 早速その場所に行ってみたが、人気すぎて私が買えるような安いものは既に売り切れていた。


「武器が欲しいな…」


 どうしても武器が欲しかった私は諦めきれずにフラフラ歩いていると、路地裏にある店に目が止まった。

 見た目は汚らしいが、雰囲気があった。警戒しながら中に入ってみると、すぐに気付いた。

 ここはまともじゃない。置いてある武器一つ一つが何かしらの呪いを持っている。持ち主を殺すような呪いの武器がここには沢山あるのだ。


 その中で1つ、呪いを放っていない武器を見つけた。剣と言うには短すぎるが、短剣と言うには長すぎる。中途半端な武器だが、気品がある。私はこれを使いたい。


「これの値段は何イェン?」


「…3000イェンだ。ただし、そいつを買うならそこの魔剣を買う事が条件だ」


「魔剣?」


 店主が指さした先には、他の呪いの武器とは比べ物にならない程の呪いを放つ剣があった。道理であんなに良い物が売れ残っているわけだ。この売れ残りを押し付けられるのが嫌で皆買わないのだ。


「買う。合わせて何イェン?」


 私の言葉に店主が目を見張る。


「お嬢ちゃん、本気か?その魔剣は捨てることはできねぇぞ」


「捨てる気は無い」


 店主と目を合わせ続けると、思いが伝わったのか店主がため息を吐く。


「値段は変わらず3000イェンでいい」


「わかった」


 私が魔剣を握ると、体が動かなくなった。何かが徐々に迫って、ついには首にまで来た時、もうひとつの剣が白く光った。


「…ふぅ」


 私を締め付けていた圧迫感は消え、体が自由になった。この魔剣は随分と荒れている。何とかして躾ないといけないな。


「名前を付けたら少しは大人しくなるかな…」


 私を助けた剣を白雪シラユキ、魔剣を暗鬼アンキと名付けると、魔剣の圧が強くなった。


「どうして…?」


 なんとなく白雪からも馬鹿にされているような気がした。



 ♢♢♢



 魔石を入れるための袋や食料を買ったらお金はなくなってしまった。

 これでまた一文無しだが、昨日とは違って武器があるし食料もある。


 準備は整ったのが、どのクエストにしようかと悩む。ゴブリンのいるはじまりの森は、上位種が居るから危険だ。かと言って、スライムのような安い魔物だと稼ぎにならないし楽しくない。


 白雪と暗鬼も手に入れたし、少し冒険をしてもいいかもしれない。


「よし、これとこれだ」



 ―――クエスト―――

 目標:コボルト10体の討伐

 報酬:3000Y

 ――――――――――


 ―――クエスト―――

 目標:オーク5体の討伐

 報酬:5000Y

 ――――――――――

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