あとがき

あとがき〜カクヨム限定〜 (本編読了後にお読みください)


『レゾンデートルの誓い』にご縁があった方々。

改めまして、ゆずりは一志いっしです。


初めに、本作をお読みになっていただいた皆様に深く感謝申し上げます。

このあとがきは前作同様、物語の余韻に浸っていただきたいという想いから書籍には掲載しておりません。

また、本編に関するネタバレを一部記載しておりますので、読了後にお読みください。



『レゾンデートルの誓い』はいかがでしたか?

私は書き始めた当初から暫くの間、「前作を超える物語を」ということばかりに気を取られてしまっていました。

ですが今は、『祈り』と『誓い』は似て非なる物語だと感じています。

『誓い』は『祈り』というレゾンデートルの世界観の入り口があったからこそ生まれた、ヒューマンドラマ性の強い新しい物語なのだ、と。

どちらも自分が届けたかった物語であり、胸を張って世に送り出すことが出来た今を嬉しく思います。


本作で書きたかったテーマの一つ。それは「孤独」 です。


あなたは孤独を感じたことはありますか?


孤独とは、人との繫がりの数とは必ずしも一致せず感じてしまうことがあるものだと思います。家族や友人、人との繫がりがあるのに、孤独を感じたことがある方もきっといますよね。


学生時代――思春期の頃の私がそうでした。

自分の気持ちや考え、努力を周りの人に受け入れてもらえなかった時。

人に合わせているだけで、結局上辺だけの繫がりなのかもしれないと気付いてしまった時 。

同調圧力に負け、流されるような生き方をしながら本当の自分が見付からないと思っていた時も。

人と関わらなくて感じる孤独よりも、人と関わることによって感じる孤独がある。

そう気付いたのは、もう随分前のことです。


私はどちらかと言えば集団で過ごすよりも少人数で過ごすことの方が好きですし、一人の時間も好きです。それならきっと孤独の方が向いているんだ――そう思った時も何度もありました。


けれど、孤独は楽にさせてくれるばかりでなく、自分を辛くさせることも多々あって。

自分の気持ちに素直になれる場所や、受け止めてくれる場所が欲しいと思うこともあって。


もしも私と同じように感じている方々がいるのだとしたら、烏滸おこがましくも、そんな居場所のような物語になればと思いながらこの物語を紡ぎました。



「夢から覚めた日」

「葉見ず、花見ず」

「泣いてない」


全ての章に沢山の時間を掛けました。

悩んだことも、途中でもう無理なのかもしれないと諦めようとしたことも数え切れません。

心が折れそうになって物語を読み返すと、決して諦めようとしないなぎ――東峰とうみねなぎさ の姿が頭の中に浮かびました。

あの日、しろとゆびきりを交わした日に誓ったことを守りたい。

大袈裟ではなく、そんな声まで物語の中から聞こえてくるようで。


彼女のその強い意志に何度も心を支えられ、そして一緒に歩いてきました。


少し捻くれていて、自分を弱いと思いながらも、今と向き合おうとするなぎ。

彼女はきっと、これからも前を向いて歩いていくことでしょう。


そんな彼女のような生き方をしてください 、なんて言いません。


では、何が言いたいのかというと、一つです。


あなたも、あなたらしく生きていけますように。


ただそれだけです。



最後になりますが、この物語に関わってくださった沢山の方々に感謝の気持ちを込めて。

『レゾンデートルの誓い』 への愛に溢れ、尽力してくださった担当編集さま。

関係各所の皆さま――中でも、前作に引き続き心奪われる素敵な装画を手掛けてくださったふすいさま。前作との親和性がより強まる装丁にしてくださったbookwallの築地さま。温かくて素敵な推薦コメントをくださったシドのマオさま、小説家兼小説紹介クリエイターのけんごさま。試し読み連載にご協力いただいたカクヨムさま。取り扱ってくださった書店さま。

そして友人や、家族、大切な人。

こうして最後まで読んでくださった、あなたへ。


ありがとうございました。


楪 一志

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レゾンデートルの誓い 楪一志/IIV編集部 @IIV_twofive

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