仕事に行きたいのにメイドの一言が気になって行けやしない!

タカ 536号機

なあ、何してんの!?本当に何してんの!?

 ジリリリリッッッ ふぁあ、朝か。


 周りを見渡してみる。まず、ベットがでかい!そして、上にはシャンデリア!

 部屋も広い!時計も高そう!そして、何故かクマのぬいぐるみまででかい!(これに関しては邪魔でしかない)


 そう、俺こと剛立時ごうりつじ 鎌太郎かまたろうは昨日この家の主人となったのだ。


 ここは俺の父の家である。

 俺の父、剛立時 悠太郎は先月なくなり、相続の諸々の手間を経てここは俺の家となった。俺は親のコネや金に甘えたくないと中学の頃下宿して25歳まで一切この家を訪れておらず、昨日が13年ぶりだ。


 さて、会社もあるし準備しないとな。

 俺があくびをかきながら部屋を出るとそこにはメイド姿の人がいた。


「おはようございます、ご主人様」


 そう言ってうやうやしく頭下げた。


 あっそうだ!思い出した!この家広すぎるから昨日雇ったんだ。ちなみに父がいた頃にも一人居たらしいが歳ということで父が死んだのと同時に辞めたんだった。


「ああ、おはよう。新田さん」


 新田 宮古それが彼女の名前だ。


「ご飯にしますね。その間にご主人様は顔を整えてきた方がよろしいかと」


「はい、分かりました」


 そう言って俺は洗面台に向かう。


 2分後 遠!洗面台まで遠!ようやく着いた。

 これ一人じゃ足りないかもな。もう、一人くらい必要かも...。


 おお、鏡もでかい!そして、ハブラシもでかい! っていやいや、なんでハブラシもでかいの!? 俺は巨人とかではないんですが?


 ハブラシは俺の身長の半分はある大きさだった。これ、誰が使うんだろう?


 ハブラシに少しの疑問を持ちつつ、ご飯を用意してくれている宮古さんの元へ戻っていった。


「今朝の食事はこちらになります」


 そう言ってうやうやしく頭を下げる宮古さん。


「ありがとう」


 そう言いながらご飯を見る。


 今日の朝ごはん:白米、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き、卵焼き


「ってなんだこれ!?何で白米と卵焼きオンリー!?」


 もはや、呪いレベルに卵焼きまみれだった。


「私、卵焼きが得意ですので」


「理由になってないんだけど!?」


「全てのものに理由は必要でしょうか?私はそうは思いません。理由などいらないものもあるのではないのかと」


「確かにあるかもだけど、これには必要だと思うけど!?」


「卵焼きは美味しいので」


「だから、理由になってない!」


 まあ、仕方ないので今日はご飯と卵焼きだけで我慢することにした。さすがに大量すぎる卵焼きはきつかったと言っておこう。でも、

 甘くて美味しかった。



「さて、そろそろ仕事に行ってくる。部屋の掃除を頼みます」


「はい、いってらっしゃいませ、ご主人様...

 今日の朝バレないように爆弾を仕掛けておきました」


「あぁ、頼んだよ」


 そう言って俺は仕事に向か______


「ちょいちょい、待て待て!」


「なんですか?」


「何ですかじゃないだろう!?何で爆弾仕掛けてるんだよ!?」


「それは私がご主人様に与えられためいを果たせなかった場合に私もろとも消し飛ぶための言わば自爆ようの爆弾なのでご安心を」


「今のどこに安心できる要素があった!?

 っていうかその場合俺の家までなくなるんですが!?」


「それは盲点でした。いっけね☆」


「いっけね☆じゃねぇだろおおお」


 ヤバすぎる、メイドさん雇っちまったみたいだ。親父すまん、家消し飛ぶかも。


「とりあえず、そんなめいを果たせなかったくらいでそこまでする必要ないから爆弾は外しておいてくれ!それがめいだ」


「はい」


「ったく、じゃあ言ってくるね」


「はい、いってらっしゃいませ」


 バァオオオオオオオオオオオ


 なんかすごい大きな声が聞こえた。


「いっけね☆」


「今の音なんだよ!?お前俺ん家に何した!?なぁ」


「ど、ドラゴンを飼ってみました」


「なんで、空想上の生き物飼ってんだよおおってかそれは嘘だろ!さすがにありえ_____」


 その瞬間俺の脳裏に今朝の巨大なハブラシが思い浮かんだ。


 まさか、あれもしかして


「まさか、洗面台にあった謎のデカすぎる

 ハブラシってドラゴン用か!?」


「そういや洗面台に放置したままでした。

 いっけね☆」


「本当に飼ってるんかぃぃぃぃ」


 このメイドさん普通じゃない。


「そもそも、どこで捕まえたんだよ!?」


「モン◯ンです」


「モンハ◯にそんな機能はねえよ」


「違います。私がモン◯ンの世界に入りドラゴンを倒すことなく仲良くしこの家で飼うことにしました」


「なんで、1日でそんなに仲良く!?ってかそもそもどうやって入ったんだよ!?」


「入り方については企業秘密ですので、

 洗脳したら仲良______優しい接したらいつの間にか仲良くなってました」


「洗脳なんだな。誤魔化せてないから」


「いっけね☆」


「いっけね☆じゃねええええ」


 ヤバすぎる。爆弾どころか時空すら超えてきてるよこのメイド。2次元に入れちゃってるよ。


「ご主人様もドラゴンの世話してみます?」


「えっ?」


 やばい、めっちゃ気になる!ってかリアルドラゴン見てみたい!


「....コク」


「さあ、こちらです。どうぞ」



 *


 さっきドラゴンの世話をしてきました。

 ドラゴンって意外とぷにぷにして柔らかいのね感動したわ!めっちゃかっこよかった。

 ハブラシで磨いてやったら、喜んでおれを背中に乗せて飛んでくれたもんね。


 可愛いね。


「どうでしたか?」


「正直、最高でした」


「そうですか、それは良かったです」


 そう言って宮古さんは笑った。

 それは、とても可愛らしい笑顔で俺はほっこりした。ところで何か忘れてるような?まあいいか。


「良かった、新田さんを雇って」


「っっ!!ありがとうございます」


「こちらこそ」


「そ、それはそうとご主人様」


「うん?なあに?」


「もう、昼過ぎですが会社の方はよろしかったのですか?」


「へ?はぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 時計を見る12時50分だ。


「前言撤回!新田さんを雇うべきじゃなかった!」


「そんな、それは酷い裏切りです。えっと爆弾ボタンはどこでしたっけ?」


「すいませんでしたー」


 危なすぎる。


「あっ出てきました。あっ」


 ボタンが宮古さんの手から離れ落ちていく。


「させるかああああああああ」


 すんでのところでキャッチできた。


「危ない所でしたね、気をつけてくださいご主人様」


「こっちのセリフだあああああ」


 これから、毎日こんな騒がしい日々なのかと思うと嬉しい反面大変すぎると思うのだった。


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