第61話 来航 重巡洋艦足柄

前書き


近況ノート方にも書きましたが、また暫く就活の影響で投稿を止めます。投稿再開時期は12月頃になる予定です。ご理解のほどお願いします。

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-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿 世界地図の間-

1937年4月27日


 マドリード会談が終わり、日々の書類整理ヘと戻ったがその中で気になる報告があった。


「※①ゴールデン・ゲート・ブリッジが完成したのかぁ」


 報告書を読んでいくと全長が2.7kmでスパンが世界一長い吊橋だと宣伝しているらしい。そういえば転生前のイタリアでイタリア本土とシチリア島を繋ぐ※②メッシーナ海峡大橋が計画されていたがシチリアマフィアの事や膨大な予算等の影響で建設が頓挫してしまった。


 でもそれらの問題をクリアした作れるとは思うんだけどねぇ...


「まあでも、この世界ではシチリアマフィアが壊滅状態だし、モーリ内務大臣に頼んで完全に殲滅すれば、我が国イタリアも建設するかもね。メリットの方が大きいし」


 この時の目標が後のイタリアに大きな影響を及ぼすとは、この時思ってもみなかった。



-イタリア: ラツィオ州ラティーナ県 ガエータ海軍基地-

1937年5月8日


 史実で2日前に起こったヒンデンブルク号爆発事故は発生しなかった。新聞によると、史実で事故の原因になったガス袋の気体を水素からヘリウムに変更した新型の飛行船が飛行した事になっていた。


 もしかしたら、飛行船はこの世界だと長く使われるかもしれないね。


 まぁそんな話は置いておいて...何故私が海軍基地に居るかというと12日の英国国王ジョージ6世戴冠式と20日の観艦式に参加する極東からやってきた軍艦がローマの目の前であるガエータ海軍基地に来航したのを出迎える為だ。


 その軍艦は英国海軍ロイヤルネイビー将兵を持って、“飢えた狼”と称され20cm連装砲5基10門を揃えた33ノットの速力を有する大日本帝国海軍重巡洋艦足柄だ。


「まさか、ムッソリーニに転生して日本海軍の軍艦を目にするとは思わなかったよ」


 そんなことを思っていると、足柄からまた昭和天皇の名代として戴冠式に派遣された秩父宮雍仁親王と勢津子妃と第五戦隊司令官小林宗之助少将が出てきた。


 日本の皇族を相手すると言う事でイタリア王室からウンベルト王太子が出迎えに参加している。


 そして最後にその場にいた人物が一瞬目を奪われた人物が足柄から降り立った。


 その美少女はベルリンオリンピックで会った彼女永田とまるで一卵性の双子の様にそっくりで黒目に腰まで伸びた黒髪と長い眉、少し幼さを残しながらも歴戦の兵士の様な雰囲気を漂わせる海軍将校だった。


「初めましてムッソリーニ統領。私は大日本帝国海軍次官の山本五十鈴やまもといすずと申します。永田陸軍中将から話は伺っていたので会えて嬉しいです」


「ええ、私も貴女と会えて嬉しいですよ。」


 ウンベルト王太子らが王室外交として会話をしている間、私は夕食時に山本次官と話し合うことになった。



-イタリア:ローマ ヴェネツィア宮殿-

1937年5月8日


 ローマに車で移動した後、私たちは私がいつも事務仕事をしているヴェネツィア宮殿に来ていた。会話は以前日本語を話してしまった事を大使館経由の情報で知っていたのか日本語で行われた。夕食してから暫くたった後にお互いの付き添いの者達を下がらせた。


「さて...これで2人だけになりましたね」


「そうですね。ようやく海外の転生者と会う事が出来ましたので」


「同感です。ただ.......永田中将と見た目がそっくりなのは驚きましたよ。私服を着ていたらわかりませんでした」


「よく言われます。さて現在貴国イタリアは帝国海軍に海軍航空隊を派遣していますが、後どのくらいの期間で空母は就役するのですか?」


「そうですね。改装空母ではありますが、軽空母スパルヴィエロの方が今年の6月頃...つまり来月に就役し、12月には中型の正規空母であるアキラが就役します。大型の正規空母の方は今のところ未定です」


「わかりました。ホームシックを起こしている航空隊員もいましたから、この報告は直ぐに本国日本に送りましょう」


「そうですか、では帰ってきた時に彼らの地元料理を振る舞わないと行けないですね」


「それはいい事ですね。それと話は変わりますが、貴国は上陸用舟艇の開発に難航していると噂に聞いたのですが、本当ですか?」


 その話を聞いて、私は少し冷や汗を書いた。確かにその報告は上がっていた。実際に地中海などの比較的穏やかな場所での運用を想定して計画していた為にかなり甘い設計になってしまったらしく、対波実験時に転覆する事故が多発して、設計からやり直しになっていたはずなのだ。


 この話を先に聞いていたのなら山本次官が何故知っているのかを理解できるが、その報告書が上がってきたのは数日前である。こんな短時間で日本側に情報が漏れている事が想定外だった。


「ええ、そうですね」


「よろしければですが、我が国日本と共同開発しませんか?」


「共同開発ですか?」


「ええ、基になる物は③小発や④大発ですが、地中海のような波の少ない場所ならば少し改造すればイタリア軍で利用出来る上陸用舟艇ができると考えています」


「そうですか、わかりました。後でバルボ国防大臣にも言っておきます」


「ありがとうございます。それと以前話していた改良された特型駆逐艦の設計図をこの場にて貴国イタリアに供与致します」


「ありがとうございます。大切に使わせていただきます」


「まあ、派遣されてきたイタリア将兵達が帝国海軍の方々と案外仲良くやっていたのと、日独伊三国防共協定の影響ですかね」


「そうでしたか。そういえば、貴国日本が3月に世界で2番目に※⑤サイクロトロンを開発したと聞きました」


「そうですね。後にドイツでヒトラー総統と会談する時に設計図を渡す予定ですね」


「なるほど」


「ということは、ドイツは核開発を進めているということでよろしいですか?」


「使用するかは分かりませんが研究は進めているようですね」


 そうして、山本次官との話し合いが終わった。その後、彼等はイギリスへと向かって行った。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気を出させイタリアを勝利に導く〜を

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補足説明(ウィキペディア参考)

①ゴールデン・ゲート・ブリッジ

アメリカ西海岸のサンフランシスコ湾と太平洋を接続するゴールデンゲート海峡に架かる吊橋。その費用は当時のレートで長門型戦艦2隻分だった。


②メッシーナ海峡大橋

イタリア本土とシチリア島を結ぶ、メッシーナ海峡に架かる予定の吊橋である。完成すれば世界最長の吊橋になる。ただ、シチリアマフィアや膨大な予算、地震関係等の影響で中止されている。


③小発

正式名称:小発動艇しょうはつどうていは、1920年代中期から1930年代初期にかけて開発・採用された大日本帝国陸軍の上陸用舟艇。通称は小発しょうはつ。また、陸軍の技術協力・資材提供によって小発を運用した海軍においては、十米特型運貨船じゅうめーとるとくがたうんかせんの名称が使用されている。


全長   10.7m

自重   3.5t

出力   45hp

速力   8~10kt

積載量  人員30名

   又は貨物3t


④大発

大発動艇だいはつどうていは、1920年代中期から1930年代初期にかけて開発・採用された大日本帝国陸軍の上陸用舟艇。通称は大発だいはつ。また、陸軍と同型の大発だいはつを相当数運用した海軍においては、十四米特型運貨船じゅうよんメートルとくがたうんかせんの名称が使用されている。


全長     14.8 m

全幅     3.3 m

全高     -m

重量     9.5 t

乗員数

完全武装兵員 70名

航続距離   170 海里/8 kt

積載量    11t(自動貨車4台分)

速度     9 kt(16 km/h・空荷)

       8kt(14 km/h・満載時)

エンジン   ディーゼルエンジン 60 hp


⑤サイクロトロン

イオンを加速するための円形加速器の一種。日本では1936年に大阪帝国大学でサイクロトロンの建設が始まった。1937年に理化学研究所の仁科芳雄が主導して日本初の26インチ小サイクロトロンが完成した後、少し遅れて大阪帝国大学でも24インチ小サイクロトロンが完成し、1944年に理化学研究所にて200トンの大サイクロトロンが完成した。

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イタリア王国軍記〜美少女ムッソリーニに転生したのでイタリアを改革しイタリア軍にやる気をださせイタリアを勝利に導く〜 鹿島 皐月 @hekagenomomizi5

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