小さき旅人を描くこの作品、まずは何よりもこの作者の知性溢れる文章だろう。決して難解ではなくすっと入ってきて読みやすいものの、言い回しなどの表現は決して単純ではない。
緻密な描写は間違いなく世界に浸らせてくれます。森の描写、街の描写、そして生きている人々の描写、ふっと目の前に現れてくるような、そんな印象がありました。
また登場人物たちが誰も彼も魅力的で、その中にあってなお際立つのが主人公たるフィーロである。
誰もがこの世界で生きている。様々なことを考え、かかわり合い、現実ではごく当たり前のことだが、物語の中でもそれを見ることができる。
世界にどっぷりと浸る、これぞ読書の醍醐味でしょう。ぜひご一読ください。