第42話・大騒ぎの代償?

律子「だから…けいくんは『ATM』な関係で満足なんだよ」

ミナ「う〜ん…どうもスッキリしないわね……」


実の弟が『ATM』だと言い放った津奈に対して、ミナは釈然としない感じだった……


律子「本人が幸せなら全然良くない?」

ミナ「そうかな……禁断の恋バナも悪くないと思うんだけど…」

律子「いや…そもそも二人共 血を分けた姉弟きょうだいだし…いくらなんでも恋バナは無いでしょう?」


男女の関係を全て恋バナに結びつける親友を、律子はなかあきれながら見つめていたが、不意に上級生と思われる男子生徒がミナにぶつかった。


ミナ「キャッ!!」

上級生1「む?」


元々小柄なミナは派手に吹っ飛んだが 大柄な上級生男子生徒は、まるで何事も無かったかの様だった。


ミナ「痛たたた……」

律子「ミナ!?しっかり!!」


上級生2「おい今 女の子にぶつかったぞ?ちゃんと前を見て歩けよ…面倒はゴメンだ…」

上級生1「俺だって被害者だろう?骨が折れたらどうすんだよ?」


親友を吹っ飛ばしたまま 一言も無く去ろうとする上級生男子の態度に、律子は憤慨して立ちはだかった。


律子「待ちなさい!!人にぶつかった癖にそのまま去るつもり!?」

上級生1「何だ?下級生の癖に生意気だぞ!?」

律子「アンタはジャイアンか!?謝りなさいよ!!」

上級生1「俺の方が上級生だ!!そっちが謝れ!!」

律子「ぬなっ!!??」


あくまで意地を張る上級生男子に 友人であろう別の上級生男子があきれ口調で言った。


上級生2「今の時代 女性の方が強いんだから 素直に謝れば良くね?」

上級生1「誰が!!俺は悪くない!!」

律子「なんですって!?」


廊下は大騒ぎになり 律子と上級生男子は一触即発の事態になった。


ミナ「リッちゃん…もう良いよ……」

上級生2「お嬢さん 愚かな友人は放って置いて、怪我の手当てに保健室へ行きましょう?」

ミナ「え?あの…その……」


謎の女生徒「アンタ達!!廊下で何をしてるの!!??」


律子と上級生男子の騒ぎを聞きつけ 謎の女生徒がその場を収めた。


上級生1「ゲッ!?生徒会長!!??」

律子「かいちょー?」


生徒会長は 二人の上級生男子を正座させると説教をし始めた…この学校では生徒会長の力は絶大で、生徒なら誰もが恐れうやまい ひれ伏すのである……


生徒会長「下級生の前でみっともない!!ドサクサに紛れてナンパまでするなんて恥を知りなさい!!」

上級生1「俺が悪いのかよ……」

上級生2「いや…別にナンパなんて……」


ナンパと聞き 律子は隣で顔を赤らめているミナを、ややあきれ顔で見つめた。


律子「ちょっと…アンタあの状況でナンパされてたの?いくら恋バナが好きだからって 自分自身をネタにするコトは……」

ミナ「あ…いや…べ…別に……そもそも!私は他人の恋バナ専門ですから!!」


上級生男子達は その場でミナに謝罪するとバツの悪そうな顔で立ち去ったが 、生徒会長は隣にいる律子を一瞥いちべつするとふくみのあるみを浮かべていた…かに見えた。


ミナ「リッちゃん会長が見てるよ?」

律子「へ?私を?アンタをじゃなくて?」

ミナ「校庭を走り回った一件もあるし 今回の大騒ぎで目を付けられたんだよ」

律子「大騒ぎってアンタ…誰の為に……」


その日の放課後…生徒会室にて とある生徒の議論が密かに交わされていた……


生徒会長「この子の事を どう思う?」


写真を手渡され 副会長は口を開いた。


副会長「う〜ん…ポニーテールに やたら巨大なリボンはウケ狙いですか?それに容姿は中の上?いや下ではありませんが、美少女としてはかなり微妙な気がします…それに あまり頭が良さそうにも見えませんね」

生徒会長「見た目や頭脳は二の次よ、問題なのは心」


写真を見ながら心と言われ 副会長は戸惑った。


副会長「そ…それは…流石に写真では わかりませんね……」

生徒会長「だから その子の事を調べて頂戴」

副会長「はあ…わかりました……」

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かよわくないよ!! ばちあて @bachimon

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