きらきらひかる桃夏を、僕らは今、走り出すよ

タイトルの桃夏とはどういう意味なのかしらん、と首をひねっていた。
読後タイトルを見直して、なるほどと納得できる。
青春を描いた本作には、ぴったりなタイトルである。

人生は一度きりで長生きできても、若いときは短い。
なにかしなきゃ、と焦るくらいが丁度いいのかもしれない。
女は今を生き、男は過去をふり返るという。
だからこそ、水瀬は青春しなきゃと焦れる。
宇野一人で考えていたら、なにもすることなく夏が終わったに違いない。

水瀬のセリフ「周りの調子に合わせて自分の夢を自分で馬鹿にして。壊して。捨てた。どんなに他人に言われても本当に自分の夢だったら絶対諦めちゃいけなかったはずなのにね」に現実味を感じる。

邪魔するのは他人だけれども、あきらめるのは自分なのだ。
自分がやりたいのなら、どんなことがあっても諦めてはいけない。
本作でいちばん大事なところだと思う。

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