第3話 寒戸の婆
「あんたがあの神隠しにあった、とかいうサダさん!?」
「どこにいた!? どう帰って来た!?」
刈り入れ前の季節にも
しかし、
「皆に逢いたくて帰って来ました。では、また参ります」
サダは短く告げるとその場を去った。梨の井に彼女が懐かしむべき顔はもうない。激しくなるばかりの風雨を浴びてまで彼女を追う者はなかった。
嵐に
それが梨の枝と気付いたのは異界へ飲まれる瞬間だった。
「そなたが
懐かしい声音が耳を
もたげたサダの頭から
「
「お会いしとうございました。お目にかかる前に
「それは私が案ずべきこと」
親王はサダを抱き寄せ、
「しかし、
その庭の梨は健やかに育ちながら、二人がこの世を去るまで再び実ることはなかったと言う。
カコイナシ 小余綾香 @koyurugi
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