艱難辛苦のおすそわけ

@grrrrr

艱難辛苦のおすそわけ

わたしは若者らしい叛駁心を持っています。正義を標榜する人なんか大嫌いだし、自分よりも優れた人なんか大嫌いだし、自分よりもだらしのない人なんか大嫌いです。要するにみんな嫌いなんだな。わたし自身も含めて。

未来より過去。抱擁より絞殺。此岸より彼岸。

「理解されないことが、私の存在理由だった」

毎日こんな世界から脱出するための呪文を唱えています。

だけどやっぱり怖いです。



きらいきらいみんなきらい

けれどそんなわたしがいちばんきらい

つらいつらいいまがつらい

しにたいきえたいわたしのままで

けれどもわたしはのこりたい

だれかのあたまにのこりたい

わたしはわたしになりたい

ぼんようでぼんようでぼんようなわたしに

ぼんようでぼんようでぼんようないたみに



わたしが生き生きと輝くのは、例えば恋をしたとき。あるいは血を見るとき。

(知ってましたか、血は愛の酒と言うらしいです。)

それなら恋はちぬった鉄なのだ!



わたしが恋をするのは女の子。嫌いなはずの女の子。無垢で嗜虐なマゾヒスト。

わたしの為だけの女の子は、それゆえにかわいそうな女の子。

なぜならその子はわたしに「使用される」ものでしかないから。わたしによって一方的に艱難辛苦を蒙る存在でしかないから。

心理学者のみなさん、わたしを教えてください。

そして。

潮の満ち引きのように、わたしを見て。


*(歌を詠んでみました)


コラアジュの人質となる幼女たちちぎれてはられてさいごはひとり


うえつけたひだりの足から喰べてみる艱難辛苦のおすそわけ


十字架を見上げて微笑む妹が「明日はきっと死んでやる」

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