蛭と書くとどうしてか、私の頭の中には蛆も一緒に湧いて出ます。
本来はあまり接点のないこの蟲たち。何故蛆が・・・蟲として考えるならば、私は蛭よりダンゼン蛆派だからでしょうか。蛭はどこかチャーミングで可愛らしい所がありますが、私は蛆の簇がる感じが好きです。(因みに、蟲は大嫌いです。)
とはいえ、スカフィズムに始まる拷問にせよ、丸尾末広の漫画にせよ、私の中で蛆虫は強烈なイマジネーションとインスピレーション、モチベーションでありボルテージです、多分。あ、蛆と言えば、ここにもう一つ、『マルドロールの歌』に登場する、「輝く蛆」も挙げておきましょう。彼はマルドロールの前に、新約聖書のエピソード、所謂《荒野の誘惑》に登場した悪魔然として顕れますが、マルドロールは彼をあっけなく潰して、「淫乱」という美女の許へ行くんですよね。てか、なんだよ、輝く蛆って(笑)
さてさて、話は変わります。私、エロ漫画を読みました。成人コミックって書いてあったから、れっきとしたエロ漫画です。堀骨砕三先生の『下水街 新装版 濁淦』という作品なのですが、今はあまり売っていないのかな? とにかくいろんな意味で手に入れるのが大変な作品集になっております。
その第二譚『濁淦』という作品に登場する主人公、錵(にえ)ちゃんが、スク水を着て、蛭が大好きな女の子なんですよね。そのお話が、とても面白いんです。そもそも、「蛭を食べることが好きな女の子」って発想、すごくないですか。舞台が「下水街」なので察しの通り、そこは皆様が考えるように不潔な場所で、寄生虫に悩まされる描写もいっぱいあります。そんな世界で、下水に潜ってスク水に蛭を喰い込ませて捕まえて、それをつまんで、ひょいっと食べるんです。しかも、うっとりとして幸せそうに。絵がまたかわいいので不潔感すらありません。ちょっと興奮します。その後、「借り腹」とかいうパワーワードが飛び出したりするのですが、それはまたの機会に・・・。
とにかくすごい、本当にすごい。それだけです、今回言いたかったのは(笑)。語彙力貧弱の私にとって、創作のキャラクターの理想位置に、この錵ちゃんはいるのです。
その手の界隈だと、堀骨先生はある意味有名人です。「マイナー過ぎてついていけないエロ漫画を描く人」「エロ漫画界の鬼才」なんて呼ばれています。実際この作品集を一冊読んでみるだけでもよく分かるのですが、確かに普通ではない世界観をお持ちの方です。(敢えて文字を重ねて深堀は致しません、ごめんね。)
でも、絵はとてもうまいし、自分の性癖、というか表現したいことをとことん表現している姿勢は、表現者としてとても尊敬できますし、羨ましいと思います。本当に、並大抵のエロ漫画(?)を越えるクオリティと描写力の高さ、そして世界観、価値観なんですよね。ええ、もちろん非常に男性的な視点ではあります(でも、彼の作品にはロリコン成分というよりは、ショタ系のお話もあったりして、一概にどうとかこうとかは言えません)。
とにかく、素晴らしい漫画家さんと素敵な作品に出逢えてよかったと、そういうことで。積極的に手を伸ばしづらいのはありますが、今後とも継続して彼の作品を読んでみようかな、と思っています。