第10話 妾(さゆりへ)
◆
いいざまじゃの。
男なんて、どれも同じじゃ。
頼りになぞ、ならんよ。平気で裏切る。
……遠い昔の、
恋なぞ、するものではない。
本当に頼りになるのは、突き抜けた自分のうつくしさだけ。
それが、すべての拠り所になる。
それによって、生きていける。
わかったろう、さゆり。
一歩、屋敷の外へ出れば、こうなる。
わが
妾とお前が、初めて出逢うてから、それだけの時が、流れたのじゃよ。
……。
大丈夫じゃ。
お前がどんなに不実であったとしても、妾は、お前を見捨てたりはせぬ。
骨のかけらを拾い集めて、再び、さゆりを造り上げよう。
前のさゆりより、もっといっそう、うつくしく。
そうやって、さゆりは、どんどん、どんどん、うつくしくなってきた。
次のさゆりも、少しだけ、さゆりらしさを、残しておこう。
それが、いつの日か、妾を裏切り、妾は、退屈せずにすむ。
次は、何人の男を狂わすことができるかの。
殺すことが、できるか、の。
ふふふ。
楽しみじゃ。
fin.
あだし野のされこうべ せりもも @serimomo
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