十四、怪談話

夏と言えば怪談。人の話を聞いたり、自身の体験談について語ったり、それぞれの楽しさがありますよね。

今回は私が怪談話をした時に体験した心霊現象についてご紹介します。


中学の頃、私は友人の家に誘われて怪談話を交互に話す遊びに付き合わされました。昼間にやると思いきや、ご丁寧に夜に行い、部屋の明かりを消して一本のロウソクだけが部屋を灯していました。

風は一切なく、扇風機の生暖かい風が体を撫で、この空間の不気味さを際立たせていました。

内心あまりこういう事はやりたくない。もし何らかの心霊現象が起きても、何の対処法も無い為、リスクが高すぎるから。

しかし、そんな事を考えているのは私だけで、友人達は暗闇で怪談話をするこの状況を楽しんでいました。怪談話は一人、また一人と順調に進んでいき、遂に私の番となりました。

その時、異変が起きた。さっきまで吹いていなかった風が突然強く吹きだし、窓がガンガンと音を鳴らし始める。この時点で私は嫌な予感を覚えたが、友人達は突然風が吹きだした事など気にもせず、私の怪談話を心待ちにしていた。

私はとりあえず、昔体験した話をしようと口を開いた瞬間、天井から何かが動いた音が鳴った。流石にこれには友人達も反応し、怖がりながらもネズミか何かだと決めつけ、私の話を止めようとはしなかった。

嫌な気持ちを抑えつけ、私は自身の体験談を話し始め、話の中盤辺りになると、友人の一人が腕時計を見て固まった。友人はゆっくりと腕時計を見せだし、「時間が・・・。」と呟いた。

見ると、確かに時計の針がおかしくなっていた。更に、天井からまた物音が鳴り、今度は叩いたような強い音が複数の個所から鳴り出す。窓を打ち付けていた風も強くなり、最早怪談話どころの話ではなくなった雰囲気に友人達はすっかり怯え、かくいう私も怖くなり始めていた。

このまま私が話を進めれば怪異は酷くなる。そう思った私は何を思ったのか、今話している怪談話を面白い話へと改変させ、早々に打ち切った。

すると、さっきまで鳴っていた物音は無くなり、あれだけ強かった風は嘘のように消えていた。


怪談話は面白いですが、時折その状況に付け入ろうとする何かが存在する。怖い雰囲気のままでは怪異は酷くなる一方なので、そうなった場合は無理矢理にでも楽しいお話をしましょう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夢乃間 百の恐怖体験 夢乃間 @jhon_

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ