彩(いろどり)と記憶

郷愁のベースは「色彩」かもしれない。ふと、そう思った。
楽しい思い出は鮮やかに彩られ、悲しい思い出は色を失なう…ふと、そう感じた。
上月文学が描く郷愁は豊かな色彩に満ち、それでいてたまらなく切ない。美しく不思議に彩られた郷愁である。
濁りのない冷やし中華の色彩…多くの読者の記憶にあるのではないだろうか。