第6話 神々に見放された森

…あれから半年?くらいたった。

十日を過ぎたとこで数えるのをやめた。

こうなったのは決して俺が方向音痴な訳では無い。

これは全てこの森のせいである。


「なんじゃこの森は!なんでスキルは使えねぇんだよ!せっかく貰ったスキルが台無しじゃねぇか!…ってもう半年?くらい言ってんだがなぁ…」


『そうですね。早くこの森から抜け出す方法を考えないとご主人様が狂ってしまわれ…あっ、もう手遅れでしたか。』


「お前日に日に俺に対して遠慮がなくなってきてないか?」


『いえいえ、そんなことはありませんよ。それより聞いたところによるとご主人様の世界では独り言をする人は他人から嫌われやすいという説があるそうですよ。』


「いや…うん…まぁ、そんなデータもあるかもね…あとご主人様っていうな」


『分かりましたよ、あ・き・ら・さ・ま♡』


全身の鳥肌が危険信号を出す


こいつ確実に俺に対しての遠慮が無くなってきてんな

一回しめてやろうか


などと考えているうちにこれまで疑問にも思わなかった重要な事実浮かび上がる。


「お前スキルだよな?ならなんで他は使えねぇのにお前は使えるんだ?お前言ったよなここは善神に見放された土地で、人種族スキルは使えなくなり、代わりに魔物達のスキルは強化されているって、その理論でいくとお前使えないんじゃないのか?」


まぁ、こいつがいたから助かったことが多々あったがどうも気になる、それに初級のスキルにしてはあまりに自由度が高すぎる代物だから余計に気になってくるというものだ。

と、


『い、いやだなぁ、そんなこと言いましたっけぇわたしぃ、聞き違いも激しいですよあきらサマー…』


明らかに声が震えている

なんかこれは裏があるな…


「いや!聞き違いじゃないね!俺はお前からはっきりと〈スキルは使えない〉って聞いたからな!」


すると、バツが悪いような雰囲気で言い逃れは出来ないと悟ったのか渋々といった感じでナビが話し出す。


『はぁ、あまり言いたくは無かったのですがあきら様が言うように私は初級スキルの器ではないですし、元々は私も最上級スキルとして使われる予定だったのですが!』


一息ついたかと思ったら、いきなり俺のことを指さす


『あなたが!超絶一般人のあなたが勝手に魔法陣に入り!それを見かねた創造神様が!お持ちになるありとあらゆる初級のスキルを渡した挙句、導く者がいなければ困るだろうと!私の位を初級まで無理やり下げて!あなたに押し込んだのですよ!』


「お、おぅ」


あまりの迫力にこっちが気圧されてしまったが、ここでまた一つ疑問が浮かんでくる。


「じゃ、じゃあひとつ聞くが俺にも梓や勇斗のように最上級スキルをつけてくれれば良かったんじゃないか?そしたらお前も…」


『普通の、ましてや異世界の常人に最上級スキルを与えれるわけないでしょうが!』


と、俺の言葉を遮ってナビが言う。


「いや、でもあいつらは貰えてんじゃん」


『はぁ…』


ナビが『ダメだこりゃ』と言わんばかりのため息をつく。


『あのですね、あのお二人は自分の意思ではなくこちらの世界の都合で召喚しました。で・す・が!あなたは自分の意思でこちらの世界に来たため、向こうの世界からの抵抗が大きく初級のスキルしか付けられないのです!分かりましたか!あとそれに今までは“お前”とか“ナビ”とかで呼んでいましたがが、私にはサラと言う名前があるのでこれからはそう呼んでください!というか呼ぶように!』


「お、おぅ」


何処に主人に向かって命令するスキルがあるのだろか。世界は広いなぁ


『まぁ、この話は置いといてここから出る方法ですが…』


と、突然サラが空を見上げる


『…繋がった…』


「へ?」


『天界とのパスが奇跡的に繋がりました!ここなら現在地と行くべき方向が【マップ】スキルで確認できます!早く!』


そう急かされても俺のスキル欄は膨大な量あるので、探すのに手間取る。

すると、


『あぁ!もう分かりました、私の能力【整理】を使ってフォルダごとに分けます。その中の探知フォルダから【マップ】を探してください!』


といって、サラが能力を発動するとあっという間に、戦闘、魔法、生産、探知、その他の五つにフォルダ分けされた。

俺はサラの言うとうり探知のフォルダから【マップ】を探し、見つけたと同時に叫ぶ。


「マップ!」


決してこれは頭が狂ったのではなく、サラが言っていたことで使ったことの無いスキルは一度声に出して読むことが必要で、二回目からはしなくて良いらしい。


そんなことより、現在地だ。

この【マップ】は、自分の現在地や周辺の地理を映し出してくれるスキルだ。


「えーっと、マップによると………っ!」


俺は勢い良く駆け出した。

サラの反応を待ちきれなかった。

この時をどんだけ待ちわびたことか!これ程願ったことは未だかつて無いくらい望んだこと

それは…


「森、ついに脱出したぞー!」


ここまで来るのに半年?かかったのであった。













皆さんどうでしたか?

最近はコメントしてくれる方もいらっしゃってとても嬉しいです。

これからも頑張っていきますので応援よろしくお願いします!





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