いつまでこんなところで遊んでるの?

「「貴様たちの得意な魔法で止めを刺してやろう!」」

魔王の魔力が輝きを最高潮にしたとき、それは起きた。

「何やってんだ、このハゲ―!」

 一筋の光が空から差した。

 次の瞬間には、魔王の一人が大地にめり込んでいた。

朱雀あかね、抜け駆けはずるいわ!」

 魔王を足蹴にした少女を囲むように、全く同じ外見の少女三人が立っていた。

「貴様ら、何者だ?」

 魔王が呆気にとられて叫んだ。

「「「「誰が口利いていいっつった? 黙ってろ!」」」」

 龍也と大河は頭を抱えた。

「おい、龍也。これはどういうことだ?」

 クレイモアは傷の痛みも忘れて、尋ねた。

「私が召喚した」

 遅れて現れたのは法王エリカであった。

「遠視していたら、不穏な成り行きだったのでな。応援を呼んだのだ」

「お兄ちゃんたち、いつまでこんなところで遊んでるの?」

「さっさと片づけてお家に帰るわよ」

「いいわね。バスとチュン」

 見ると、少女たちの足元にブルドッグとクロネコがお座りをしていた。

 四人の妹、玄武くろえ朱雀あかね青龍あおい白虎はく

「こいつらは天才なんだよ。本物の」

「いいから絶対零度、みんなで・・・・撃つわよ!」

 朱雀が龍也を制して言った。

「「「「「「絶対零度!」」」」」」

「バウッ!」

「にゃあ」

 7.1チャンネルサラウンド・・・・・魔法は魔王の抵抗をものともせず、氷の粒に変えて消し去った。


「もう、大変だったんだからね。家事とか、家事とか!」

 朱雀がぎゃあぎゃあと文句を言い始めた。

 龍也と大河は妹たちに聞こえぬよう、小さな声で魔王の亡骸に告げた。

「「覚えておけ。『妹』と書いて『最凶』と読むんだぜ……」」


(完)


――――――――――

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本作は「カクヨムコン8」短編部門/ファンタジーにエントリーしております。


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一卵性双生児の俺達はステレオ魔法で異世界無双する 藍染 迅(超時空伝説研究所改め) @hyper_space_lab

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