📕「飯屋のせがれ、魔術師になる。」(異世界ファンタジー)
(「第4回一二三書房WEB小説大賞/コミカライズ賞(コミックポルカ)」受賞)
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📖「第673話 あの時の馬車もよく揺れた。」
📄ステファノ、スールー、サントスの3人はサントスの所有する|魔動車《マジモービル》で|呪《まじ》タウンに向かった。
荷台付きの車両には2つしか座席がない。運転席にはサントスが座り、その隣にはスールーが腰かけた。ステファノは荷台にクッションを置いて急ごしらえの座席とし、後ろ向きに座って荷物の番をしている。
荷台狭しと積み込まれているのはサントスの持ち物だ。各種の工具や資料、魔道具が箱詰めになって置かれていた。ロープをかけて固定してあったが、地面の凹凸で車が揺れると箱の中身がガタガタと音を立てる。ステファノは土魔法を働かせて箱が飛び出さないように押さえていた。
「うーん。こうしてみると街道といっても随分と車が揺れるもんだね」
「これはマシな方。うちの車はサスペンションを改良してある」
「そうなると、車の性能ではなくて道そのものの問題だね。いつかは何とかしたいものだ」
油断して舌を噛みそうになったスールーは舌打ちして言った。
街道と言っても舗装はされていない。せいぜい突き固められた土の路面に過ぎなかった。馬車が通れば轍ができて、やがてそれが車輪がはまり込むほど深くなる。
御者には路面の状態を観察して、走りにくいところを避けて通る操縦技術が必要であった。……
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