絶対に人なんか食べたくない神様 vs どうしても食べてほしい人間の娘

 人里の守り神として山奥に暮らす蛇神様と、何度追い返しても彼の元に戻ってくる生贄の少女のお話。

 和風ファンタジー、それもある種の王道感溢れるエンタメ作品です。
 強い力を持った人外男性の神様と、ごく普通の(とも言い難そうですけど、建前上は普通なはずの)でもやたらアグレッシブな性格の少女、という、この関係性というかキャラクターの安定感。
 こういうお話、本当に大好きです。いくらでも読めちゃう。

 とはいえ、当然ただキャラクターとシチュエーションだけに終わるものではなく。
 もちろんそこだけでも大変美味しいのですけれど、そのうえで彼や彼女にしっかり物語のあるところが最高でした。

 タキさんが好きです。なんかこう、すごい逞しさのようなものがちらほら顔を出すところ。
 一応、普通の人間のはずなんですけど、確かに蛇神様をたじろがせるだけの一面があるとわかる、何か芯の強さのようなものがとても魅力的。

 読んでいてつい嬉しくなっちゃうような、ほっこりした楽しみを与えてくれる作品でした。