ナポレオンと『オシアン』

 英雄ナポレオン・ボナパルトの生涯を描いた物語。

 歴史ものの短編です。
 ナポレオンの幼少期からその最期までを、伝記のように描いた作品。

 しかしその実、物語そのものの実質的な主役は、なんと彼の愛読書たる『オシアン』だったりするところが途轍もない。

 私は無学なもので、ナポレオンの生涯にも詳しくないどころか『オシアン』自体を本作で初めて知った、という体たらくなのですけれど、でも本作自体はとても楽しく拝読しました。

 史実を辿る歴史ものとしての味わいがあると同時に、幻想的な物語としての魅力もあって、あまり知識がなくとも飽きさせずに先へ先へと読まされてしまいます。

 ネタバレになるので詳しくは触れませんけど、最後の最後に示された解釈が好き。
 とても読み応えのあるお話でした。