その世界観と人物達の妙に

 読んでいてなにより感じたのは安定感です。文章作りが単調でない上に語彙も豊富なので、想像力を掻き立てられながらもとにかく読みやすいです。テンポよく読めるように語感をちゃんと気にかけていらっしゃるのかな、と勝手に感じておりました。

 文章の上手さだけでなく、世界観も好みです。私は中世日本史については知識不足で、初めは読むのに少し気後れしていたのですがそれでも問題なく面白かったです。他作品の名を上げるのは失礼かもしれませんが、読んでいて手塚治虫の「どろろ」に似た物騒さや血生臭さを感じ、自分は存外こういうタイプの世紀末感が好きなのだと気付くことができました。
 キャラについても主人公犬君の奥ゆかしさは世界観を際立たせていて、相棒トニの可愛さ逞しさも良いアクセントなので読んでいてなかなか疲れません。
 犬君が色気のある坊さんなのが、個人的にかなり好みです。(笑

 私主催の自主企画に参加してくださった際にお見かけして読んだのですが、現在数ある参加者の中で個人的に最も印象に残っている作品です。ただハマった分だけ言葉を選ぶのが難しかったので、最初に見かけた日から遅ればせながら、続きを読んだ勢いそのままにこうしてレビューを書かせて頂きました。
 長くなりましたが、今後も是非頑張ってください。応援させて頂きます!