第11話 3つの蔦

いつもの生活が始まった。

ヒナが来る前のいつもの生活だ。


もうヒナの「ピッ」という声は聞こえない。

ご飯の心配をすることもない。


イラストの仕事に専念できる。


でも、街を歩くとどこかで「ピッ」と雀の声が耳に入る。



そんな数日を過ごすと、やがていつもの生活が当たり前になっていく。



フットハウスも片づけ、ヒナのご飯のみが冷蔵庫に残っていた。

ひとつひとつゴミ袋へ入れていく。


少しだけ残ったあわを小皿に乗せベランダに出してみた。



そしてパソコンに向かって仕事を始める。


イラストに集中し気が付けば陽も傾き始めていた。

白いカーテンがオレンジ色に染まっている。


そして、空気を入れ替えようと窓を開けた。


目に入る物干し竿。


その竿に掛けられた3つのつた




『 ..ヒナ ..ありがとう 』




小皿の粟は全て無くなっていた。

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3つの蔦~彩花とヒナの数日間~ こんぎつね @foxdiver

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