第2話 解答編

「ルースケースのラベルに書いてある、ブラックオパールとライトニングリッジ産オパールの理由ですね」

「見た目の雰囲気は同じルースよね。ルースの名称が異なる理由を知りたい」


「ルースケースに入っている状態では説明が難しいです。トレイに取り出します」

 芽衣子さんはトレイを用意して、2つのルースを置いた。ルースケースに入っていた雰囲気とあまり変わらない。


「私には違いがわからない。何かを調べるの?」

「ルースを裏向きにしてもらえますか」

「触っても平気? 落としそう」


「トレイの内側で触れば大丈夫です。素手なら落としにくいです。ルースケースへ戻す前にルースを拭きます。気にせず手で触ってください」

 トレイの内側でルースを裏返した。素手ならすべりにくかった。慣れれば落とす心配はなさそう。裏返したルースに目をむけた。


「裏側の色合いがルースで異なっている。紺色ルースは黒色で、水色ルースは白色に近いみたい。この色が関係しているの?」

「そのとおりです。ブラックオパールの定義はいくつかあります。一般的には裏側の色です。黒色や灰色だとブラックオパールで、白色は普通のオパールになります。境界色の判断は難しいです。高価なルースなら鑑別機関での判断が確実です」


 裏側を確認する必要があったから、ルースケースから取り出した。ブラックオパールを見分ける方法のひとつは、裏側を見るみたい。でももうひとつ疑問があった。

「紺色ルースがブラックオパールだとわかった。でも水色ルースがライトニングリッジ産という意味を知りたい」


「一般的にブラックオパールが産出されるのは、オーストラリアのライトニングリッジという町周辺で取れます。水色ルースは鑑別では宝石名がオパールとなります。ブラックオパールと同じ場所という意味で、ライトニングリッジ産としています」


「両方のルースとも同じ場所で採掘した。でも鑑別で異なるから、ラベルの名称を変更しているのね」

「その考えであっています。両方とも天然オパールです。ブラックオパール以外でも構わないのなら、気に入ったルースを選べば平気です」


 オパールの種類を気にしなければ、好きなルースを選ぶのが一番みたい。水色ルースはブラックオパールではないけれど、好きな色合いだった。

「いまは色々なルースを集めたい。気に入ったルースを見つけてみるね。ルースケースから取り出すのは見やすさと思った。でもオパールの種類もわかるのね」


「直接ルースを見れば、天然オパールか偽物かも調べやすいです。機会があるときに見分け方は説明します」

 このお店は天然オパールばかりだけれど、偽物を売るお店もあるのね。購入するときは注意したい。あとで芽衣子さんに聞いておきたい。


「教えてくれてありがとう。ほかのルースも眺めて見るね」

 他のルースへ視線を移した。時間を忘れてオパールを堪能した。


(了)

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宝石オパールは語る_5 ~ライトニングリッジ産~ 色石ひかる @play_of_color

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ