宝石オパールは語る_5 ~ライトニングリッジ産~

色石ひかる

第1話 問題編

 私は倉木くらき彩香あやか、20歳の女性。ルースコレクター初心者の社会人。ルースは宝石の石単体で裸石ともよばれている。中でもオパールが大好きだった。


 宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の川畑かわばた芽衣子めいこさんを見かけた。20代後半のお姉さんだった。


「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」

「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」

 展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。


 手前のルースを見た後はガラスケースに目を向けた。高価なブラックオパールのルースが並んでいた。1ヶ月分の給料では買えない価格だった。

「興味のあるルースがあれば取り出します」


 芽衣子さんが笑顔で話しかけてくれた。手にとって見たいけれど高価すぎる。落とすと怖いから、慣れるまでは見るだけがよさそう。

「眺めているだけでも充分に堪能できるよ。必要なときは声をかけるね」


 ガラスケースから手前の大きな箱に視線を移した。20個のルースケースがきれいに並べてあった。ブラックオパールのルースが入っている箱だった。

 緑色と青色のルースが目立っていた。赤色のルースは少しだけ。小さいルースが多いけれど発色のよいルースもあった。今日は発色のよいルースを探してみたい。


 5つのルースケースを大きな箱から取り出した。

「芽衣子さん、このルースは発色がよさそう。少し詳しく見せてね」

「手に取った5つは、どれもすてきなルースです。ルースケースから取り出したい場合は、トレイを用意します。いつでも声をかけてください」


「最初はこのままの状態で見てみたい。詳しく見たいときはお願いするね」

 まだルースの取り扱いになれていない。ほしいルース候補を絞ってからルースケースから取り出したかった。


 ひとつひとつ眺めた。どのルースも小さいけれど輝きが強かった。表面は星空の模様から、一面が輝くルースまであった。色は青色と緑色が多いみたい。同じ青色でも紺色ルースと水色ルースがあった。


 5つあるルースの中では、紺色ルースと水色ルースが気に入った。値段を知るためにラベルを確認した。気になる言葉があった。


「芽衣子さん、この2つのルースはブラックオパールよね。でも水色ルースはライトニングリッジ産オパールとラベルに書いてある。紺色ルースのラベルはブラックオパールだった。同じに見えるけれど何が異なるのか知りたい」

 芽衣子さんの発言をまった。

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