第42話 エピローグ

ハンズ・バンと決着をつけて一年の時が流れようとしていた。


王都は一時の騒がしさを終えて、平穏な日常が戻りつつあった。

それと同時に、王子始動で行われた。スラム街の整備によって、犯罪者の軽減も平穏に拍車をかけた。


いくつかある王都にある冒険者ギルドでは、ハンズ・バンの二の舞になるまいと制度の改善なども行われるようになり、冒険者同士でもマナーや住民との関係改善が行われるようになっていた。



「先生!聞いてください。僕、A級冒険者になれることが決まったんです」



そういって報告に来たのは、リベンジャーズのリーダーを務めるディーだ。



「久しぶりだな。凄いじゃないか」

「これも先生の指導があったからです。それに新人の引率も評価されました」



リベンジャーズというチームの形は残しつつ。

四人はそれぞれの活動を開始していた。



ディーは魔導士として、魔塔へスカウトされたと聞いた。

だが、自らの研鑽を積むことを優先して、新人冒険者の引率活動と同時に己の魔導を極める道を選んだ。



「久しぶりに先生と飲めるのよ。ディーばかり話さないで」



横やりを入れたリリアもA級昇格が決まっている。


勇者の直弟子として、剣術の才能が開花したリリアは、王都でも指折りの剣士として道場を開くことが決まっている。


最近はその美貌で、貴族の子息たちから求婚が絶えないようだ。



「ディーの兄貴。みんな先生と話したいんだ」



ガロは、スラム街の整備の協力。己の家族を迎え入れて家を建てた。

現在はスラム街に孤児院を立てて、支援活動をしているそうだ。

冒険者として危険を冒すよりも、情報屋としての収益の方が多くなってきているそうだ。

暗殺ギルドが仕切っていた情報網を、孤児院という場所で情報習得場所として教育も行っているそうだ。


次世代の教育を優先してくれた、ディーとガロは楽しそうな毎日を送っている。



「先生、私ね。A級になったら結婚するんです」



セシルは孤児院時代のゼフと結婚するそうだ。

ゼフは、ずっとリリアとセシルのことを気にしていて、現在は料理屋の店主として自分の店を持つまで成長を遂げたそうだ。


久しぶりにあって、昔のことを謝罪され、実は好きだったと告白されたそうだ。



「みんなあれからも頑張っているんだな」



一年という期間は彼らを成長させるのに十分な時間、それぞれの道を決める時間を与えた。



「先生は一年間、噂を聞きませんでしたけど。どこにいらしたのですか?」



ハンズ・バンを葬った俺はローガンの下を訪れた。



「全て終わったよ」


「申し訳ありません。私どもが不甲斐ないばかりに手を煩わせてしまいました」


「いや、むしろ自分の手で終わらせることが出来てよかったと思っているよ」


「これからはどうされるおつもりですか?」



ローガンの問いかけにしばらく沈黙が流れる。


生徒たちの成長を促すために、私はそばにいない方がいいだろう。



「一年ほど世界を回ろうと思っているよ。また教えが必要な子を探そうと思ってね」


「先生のお力を必要としている子は大勢いるでしょうね」


「いいのかい?」


「先生を人の法の下で縛りたいとは思っていません。あの戦いは世界を変えることが出来た。ただ、先生一人に背負わせる責任が多きすました。だから、自由だけは奪いたくありません」



ローガンとはそれ以上話すことなく別れを告げた。



「世界を回っていたんだ。まだまだ小競り合いをしていたり、魔物の脅威に怯える人々は多い。冒険者の力はいくらでも必要になるからね」


「じゃあ、私達の弟弟子や妹弟子が?」


「そういうことだ。今面白い少女を育てているんだ。彼女はね。呪われた体を持っているんだよ」



私は今育てている子の話をする。



彼らは自分たちの妹になる子の話を聞いて、自分たちのときを思い出しているようだ。



「いつか、その子に会いたいな」


「セシルに子が出来たら行ってくれ。指導をしてあげよう」


「そのときはお願いします」



私は愛しい生徒たちと一年ぶりの酒を酌み交わして別れて王都を発った。



パチン



「やぁ、久しぶりだね」



愛しい生徒の前に大きな剣を持った美少女が座っている。



「はい。先生。お久しぶりです」


「もう、そのときが来てしまったか」


「はい。先生は……やっぱり存在してはいけない存在として処理が決まりました」



勇者セリカは悲しそうな笑みを浮かべる。



「フルル」



眠る生徒の頭を撫でる。



「彼女のことを頼んでも?」


「もちろんです」


「ありがとう」



私はセリカ君と小屋を後にする。



「天災デビスティーチャー。世界機構の決断により、あなたを断罪します……ごめんなさい」


「構わないさ。君が生き残れるなら私の命など好きにするといい」



生徒の命を守れるならば、教師の私の命など捧げよう。



私は長く生きすぎた……



「ジャスティス!」



光の剣がこの身に振るわれる。



激しい放流が天へと上り、剣を持った美少女だけが残される。



「ごめんなさい。父さん」



美少女は膝をついて涙を流した……




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あとがき


どうも、作者のイコです。


【冒険者の家庭教師】 完


となります。


思っていたよりもレビューやいいね頂きありがとうございました。


伸びが良ければ、継続して執筆も考えたのですが、次回作を考えたいと思います。


お付き合い頂きありがとうございました。

次回作もよければお付き合いください。



現在は、


【貞操逆転世界なのに思ってたのとちがう?】連載中


【僕はエッチである】を連載再開しようと思います。



どうぞよろしくお願いいたします

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冒険者の家庭教師 イコ @fhail

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