第8話
桜木と連絡先を交換したあの日から三日が経った。あれから桜木とは直接会えていない。たまに一方的に校舎内で見かけるくらいだ。男女問わず人を惹きつける容姿を持っている桜木は、廊下を歩いているだけでも目立つので自然と目に入りやすい。今となっては、その重々しい話しかけるなオーラから誰も話しかけようとはしないのだが。もちろん桜木に近づこうとしたやつは少なくはない。だが、仲良くなろうと話し掛けても、繰り返される彼女の辛辣な返答で諦めるのだという。俺の少ない情報源から噂話程度で聞いただけなので確かではないが。
そうして諦めた男たちは数知れず。男が寄ってきても一切意に返さない態度から一部の人からはあまりよく思われていないようだ。男に言い寄られて迷惑している彼女からすればとばっちりもいいところである。俺も最初はいいイメージではなかったが、最近交換したHineで話している限りは、いつもの高圧的な桜木はどこにも見当たらない。可愛らしいトイプードルのスタンプなんかも頻繁に使っているし、もしかしたら別の誰かが代わりにしているのではないかと疑ったほどだ。
「せんぱーい。これ見てくれませんか?」
いつも通りあざとい仕草で、ファッションショーでありそうなポーズをとる高峰。白のゆったりTシャツとデニムのショートパンツとでなんとも夏らしい服装をしている。少しふとともあたりの露出が多い気がするが、これも最新のファッションなのだろう。うちの学校は制服指定だが、学校の規則程度ならバレなきゃ問題ない。高峰が新聞部で新しく買った服やアクセサリーの感想を聞くことはもはや恒例化してきていた。
「……いいんじゃない?」
俺がパソコンを打つ手を止めずにちらっと片目でだけ見て感想を述べると、もう俺からこれ以上反応をもらえないと察したのか、諦めた様子の高峰。
「じゃあ古谷。どう思う?」
高峰は珍しく畳の上で昼寝をしていた古谷に声をかけた。
「高橋先輩とは全然態度がちがうじゃないか…。まぁ……涼しそうでいいと思う」
眠そうな目をぼーっと開けて高峰を眺める古谷。寝転がった状態だと、高峰の小麦色に焼けた健康的なふとももや、だぼっとしたTシャツに浮かんだ、たわわなものがよく見えるはずだ。見とれてしまうのも仕方がないだろう。
高峰と古谷は一年で同クラスだったはずだが……。なぜかいつも険悪なんだよなぁこの二人。二人には仲良くなってほしいのだが、古谷の方はたまに話すほどで俺自身どんなやつなのかもまだあまり分かっていないので俺が仲を持つのも抵抗があるのだ。
「あぁそう。……ありがとう」
高峰はまんざらでもない様子で視線を逸らした。
お互い素直じゃないので、二人を見ていると甘酸っぱくて初々しいカップルのように見えることがある。本人たちの意思は置いといて、だが。
「あ!ところで先輩!今週の土曜日って空いてますか?」
新聞の原稿が書き終わろうとしていたとき高峰は何かを思い出したように聞いてきた。
「………あー。ごめんその日はちょっと予定あるかな」
ない、と答えようとしたのだが、そういえば桜木から買い物に行こうと言われていたのを今思い出した。どこだったか。確かアシオとかいう総合ショッピングモールだった気がする。
「……えー残念です。じゃあまた誘いますねっ」
何気に高峰と二人でどこか行くことは今までなかったので、せっかくの誘いを断って落ち込ませてしまうかと思ったが、高峰は全然気にしていないといったように健気に笑みを浮かべた。
「じゃあ先輩にも振られたとこだし友達と行こっかなー」
高峰は、気まずくならないように俺を軽くからかって場を和ませてくれる。ポジティブな上にこういう気遣いができるのも高峰がモテる秘訣なのだろう。
「こんな暑い中どこ行くんだ?」
「ここです!めっちゃ大きくて品ぞろえもいいんですよ!」
高峰が差し出したスマホには先日桜木から送られてきた現地の地図が映っていた。
★今回少し適当に書いてしまったかも。すいません🙇ハートくれーー!
誰にも心を開かないことで有名なツンデレ美少女の妹を助けたら俺にだけ甘えるようになった sy @syoyu-0422
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