4話 スキルホルダー

 朝起きて一番に零は 

「ガチャ」

 と呟いた。


 ・スキルホルダー(小) ガチャから出たスキルを保存することが可能となった

 保存できるスキルは三つ


 ・雷魔法(下級)は削除されます



「スキルは一つしか持てないものかと思ってたけど、これがあれば何種類ものスキルを手に入れることができる様になっていくのか!」

(でも雷魔法を上書きしていくのか、、、これも保存してくれればよかったのに)


 この日は周りを散策し、少量の毒々しい色のキノコと、日本の桃と似た様な木の実を見つけ回収するだけした事以外には,何事もなく早々に寝た。


「ガチャ」


 ・水魔法(下級)


(いや遅いって、どうせなら初日にあって欲しかった。あと川を見つけた後に手に入るとか嫌がらせだよね。)

「魔法系のスキルは下級ばかりしか出ないけどそういうものなのかな?」


 推察通り、ガチャスキルの等級は高ければ高いほど出にくい。


 この日は水魔法を使い、全MPを使い魔力で圧縮したウォーターバレットで猪に風穴を空け、討伐することに成功した。

 そして二匹目の猪を討伐した時点のステータスは以下の様になった。


 00000000000000000000

 Name 榊 零

 種族名 人族

 レベル 9

 HP  100/100

 MP  20/200

 力   45

 魔力  20+100

 防御力 40

 脚力  60

 HP再生力 0.001

 MP再生力 0.2

 精神力(SAN値) 85

 グリムアーツ

 ・槍術(E)

 スキル

 ・ガチャ(一日一回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)

 ・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)

 ・スキルホルダー(小)

 ・水魔法(下級)

 ・空欄

 称号

「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)


 ステータスポイント 23

 111111111111111111111111111



「ステータスに関しては、今のところ不自由してないしこのままでいいかな?」

(必要となったときに振り分ければいいよね)


 どこまでも楽観的であった。


「この猪は火をつけることが出来ないから食べることも出来ないな」

(放置しておくと血の匂いで他の生き物が寄ってくるって聞いたことあるし、    少し、、、いやかなり勿体無いけど埋めたりしたほうがいいよな。)


 地面を掘って埋めるという行為は思いのほか時間が掛かるもので、処理し終わった頃には暗くなっていた。


 いつも通り寝た零。


 毎朝恒例の、

「ガチャ」


 ・睡眠(中)

(睡眠の質が向上する) 


「ゴミが!」

 パシーン!と、スキルが表示されているボードを地面に叩きつけた。


「なんだこのスキル!これで明日まで寝てろってか!?いい加減にしろ!」

(とは言ったがマイナスになる様な内容じゃないだけまだ、、、)


「思ったけどこの世界に転移してから未だに現地人と会ってないけどそもそも人間は存在するのか?どういう世界に飛ばされたのかを把握したいところだが」


(今日の目標としてはこの拠点を離れて人里を目指す!ついでにレベル10達成したい)


 目標を決めた零の行動に迷いはなかった。


 進むべき道は事前の散策で目星を付けておいた獣道である。


 この先に街があると自分の直感が言っているのである。


(こういう時の直感は馬鹿に出来ないものだしな)


 結局この日は魔物にも会わず、街も発見することは出来なかった。

 結果、日が暮れる前に見つけた洞穴で寝ることに決めた。


(まだ明るいからもう少し進もうと考えていたが暗くなるのはあっという間だったな、洞穴で止まるという選択肢をとってよかった。)


(水魔法(下級)があるから水分の不足は気にしなくていい。後不満があるとしたら昨日から木の実以外口にしていなかったから腹が減ったな、、、)


 そんなことを考えながら床に着く。


 そして睡眠(中)の効果かいつもよりも寝やすく感じた。


 朝起きたときその効果を実感することとなった。


「昨日はゴミなんて言ってすいませんでしたッッッ!」


 ここ最近の中で1番の快調であった為である。


 気分がいいまま早々に洞穴を発つ。


 歩きながらあることに気付いた零。


「あ!ガチャまだ回してねぇ!」

(でももう欄が埋まってるんだよなぁ、選択制なのかな?それともランダムで入れ替わるのかな?)



「ガチャ」


 ・身体強化魔法(中級)

 身体能力(力と脚力)に補正をかける。補正の効果は魔力に比例する。

 使っている間は毎秒MPが減る。等級が上がるほど使うMPは減る。

(中)では10MP減る。


 どのスキルを上書きしますか?


「おお!やっと普段から使えそうなものが来た!ちょうど移動速度を上げようか脚力にポイントを割り振ろうかと考えてたし。」

(上書きするスキルは選択できるのか良かった)


 そう言いながら零は迷わず睡眠(中)を選択する。

 さっきの謝罪はどこへやらといった所業である。


「でも俺のMP200しかないから20秒しか使えないのか」


 そう、身体強化魔法はMPの消費が激しすぎる為、緊急退避に使うくらいしか用途のない死にスキルとされているのである。

 そして普通後天的に魔法を入手しようとすれば、下級からでしか入手出来ない。

 だが、条件を達する。

 またはレベル100(一度レベル100に達したら次からは倍々になっていく)ごとに等級を進化させることが可能。


 普通入手できるのは下級からというだけで先天的に入手した場合はその枠組みではない。


 身体強化魔法(下級)の消費MPは毎秒30で、魔力値の2分の1の補正しかかからない

 ため先天的に入手する以外では使い続けるということも難しく、覚えている者自体は多いが、戦闘に使用する者はまずいない。


 派生で身体強化スキルもあるのだがこちらはMPの消費が1固定であるため普通はこのスキルを使う者が多い。(ただし補正の効果が段違い)


 そうとは知らない零はステータスポイントをMPに全振りした。



 00000000000000000000

 Name 榊 零

 種族名 人族

 レベル 9

 HP  100/100

 MP  430/430

 力   45

 魔力  20+100(称号の効果)

 防御力 40

 脚力  60

 HP再生力 0.001

 MP再生力 0.43

 精神力(SAN値) 85

 グリムアーツ

 ・槍術(E)

 スキル

 ・ガチャ(一日一回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)

 ・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)

 ・スキルホルダー(小)

 ・水魔法(下級)

 ・身体強化魔法(中級)

 称号

「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)


 ステータスポイント 0


 111111111111111111111111111


 MPの上昇率はステータスポイント1に対して10である。

 だが現地の人はレベル1上がるごとにステータスポイントは1しか手に入らないのである。


 称号で真にチートなのはスキルポイント取得量補正5倍であった。


 これではガチャで無双というよりかは称号が無双している。




「これでひとまずは43秒使える様になったのか」


「身体強化!」


 緑色のオーラに纏われた零は開きっぱなしにしていたステータス欄を見た。


 00000000000000000000

 Name 榊 零

 種族名 人族

 レベル 9

 HP  100/100

 MP  390/430

 力   45+120(身体強化魔法の効果)

 魔力  20+100(称号の効果)

 防御力 40

 脚力  60+120(身体強化魔法の効果)

 HP再生力 0.001

 MP再生力 0.43

 精神力(SAN値) 85

 グリムアーツ

 ・槍術(E)

 スキル

 ・ガチャ(一日一回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)

 ・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)

 ・スキルホルダー(小)

 ・水魔法(下級)

 ・身体強化魔法(中級)

 称号

「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)


 ステータスポイント 0

 111111111111111111111111111


 注)3秒経つ時点でMP 1以上回復していますが、表記は基本しません。



(まじか、、、!魔力の数値がそのまま補正としてかかるのか!)


 そんなことを考えている間にもMPはガンガン削られている。


(1秒も無駄に出来ないな!)


 そう思い駆け出した。


 途中で狼(1匹)に襲われたが、補正の掛かった零の力は凄まじく、一撃で意識を刈り取り、

 もう一発追加で叩き込むと、あっという間に討伐完了。


「あれ?もしかして俺めっちゃ強い?」


 一先ず身体強化魔法を解除した零は、ステータスを確認した。



 00000000000000000000

 Name 榊 零

 種族名 人族

 レベル 10

 HP  100/100

 MP  150/430

 力   45

 魔力  20+100

 防御力 40

 脚力  60

 HP再生力 0.001

 MP再生力 0.43

 精神力(SAN値) 102

 グリムアーツ

 ・槍術(E)

 スキル

 ・ガチャ(一日一回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)

 ・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)

 ・スキルホルダー(小)

 ・水魔法(下級)

 ・身体強化魔法(中級)

 称号

「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)


 ステータスポイント 25

 111111111111111111111111111



「あれ?レベルが1つしか上がっていないのにポイントが25も?」

(レベルが10に達すると普段の5倍のポイントがもらえるのかな?それとも固定で25貰えるのかなぁ?この現象はレベル10になった時だけか?それとも10レベル毎か?ま、それはおいおい分かることでしょう!)


 実際は、レベル10毎に5倍、100毎に50倍である。


「貰えるってんなら貰うけど!」


 そしてそのポイントを割り振ったステータスがこちら。


 00000000000000000000

 Name 榊 零

 種族名 人族

 レベル 10

 HP  300/300

 MP  450/450

 力   45

 魔力  20+100

 防御力 40

 脚力  60

 HP再生力 0.003

 MP再生力 0.45

 精神力(SAN値) 85

 グリムアーツ

 ・槍術(E)

 スキル

 ・ガチャ(一日一回ガチャを回すことが可能、出る中身は完全ランダム)

 ・自己鑑定(自身の鑑定のみに使える)

 ・スキルホルダー(小)

 ・水魔法(下級)

 ・身体強化魔法(中級)

 称号

「異世界に転生せし者」(効果は、レベルアップ時におけるスキルポイント取得量に補正、魔力に100の補正、スキル自己鑑定の付与)


 ステータスポイント 3

 111111111111111111111111111

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る