第3話 ノイズ

あの夢から数日がたった

俺はいつもと変わらない日常を過ごしている。

違和感が消えたわけではないが、これ以上踏み込んでは駄目だと、脳内で強制的にブレーキがかかっているような、なんと心地悪い感覚だけが今も続いている。


「今日も無事にお仕事完了っと。。。遥禾と夕飯の約束までまだ時間あるな。少し仮眠でもするか」


今日は久しぶりに遥禾と外食の予定が入っている。なんとか記念日とか言ってた気がするが、、、よく覚えていない。


俺は遥禾との待ち合わせ時間まで少し仮眠を取ることにした。

気がつくと徹夜してしまうことが多い為、寝れるときに寝る。これはこれで貴重な、時間なのだ。


ソファに転がり、目を閉じる。

突如キーンと言う音が聞こえ始めた。

「あーー、、、また耳鳴りか。早く治まらないかなぁ」


あの夢を見てからと言うもの、ちょくちょくこうして耳鳴りが起こる。

まぁすぐに治まるし、たいした事でもない為気にもしていなかった。


ザーーーーと言う音が脳内に響く


気がつくと、スマホのアラームがなっていた。

瞬間的に熟睡してしまったようだ。


「あーもう時間か。。。なんかスッキリしたな。やっぱ仮眠は大切だな」


俺はスマホのアラームを止め時間を確認する。


「ん?なんだこれ。バグってる?こわれた?」

スマホの画面には無数の横線が入り、時間が歪んで映っていた。

「まぁ、もう2年使ってるからな。壊れてもおかしくはないか。扱いも荒いし。」

「でも時間見にくいなぁ。中途半端に不便」

誰に言うわけでもない文句を1人つぶやきながら、俺は出かける準備をしていく。


支度が終わり、玄関に向かう。


「あれ?この扉ってこんなに傷あったっけ?」

玄関の扉には、無数の横線が入っており、なにかで擦ったような線がいくつもついていた。


傷の状態も気になった為そっと扉に触れると

何かを擦ったような線が、俺が触れた場所だけ何事も無かったかのように綺麗に傷が消えていた。


「え?なんだよこれ。。。。意味わかんねぇ」


あまりにも現実感のない事態に俺は混乱した。


「いや、とりあえず一回外に出よう」

ドアに手をかけ扉を開ける

夏の眩しい日差しが差し込んでくる。


「うぉ。。。めっちゃいい天気じゃん。っていうか死ねるレベルで暑いな。。。は?あ。。え?」


扉の先の景色は俺がいつも見ている景色では無かった。

雲一つない快晴の空に、黒いひび割れのような横線が見える。

空に映ってるような、目の前に傷があるような、、、奥行きがあるようで手を伸ばせば触れそうな。中に浮くような状態で空にノイズが見える。


「意味がわからない。。。これは夢?明晰夢?

いやいや、俺は起きてるし、これは夢じゃない。でもじゃぁこれは何なんだよ」


空に映るノイズは手を伸ばしても届くことはなく、でも手を伸ばせば届きそうな距離にあるように映る。


「いや、一旦落ち着こう。まずは遥禾に会って、この現象の事を聞いてみよう。俺だけにみえているのか、遥禾にも見えるのか。。。」


俺は今見ている景色が現実なのか、俺の妄想なのかを確認する為にも遥禾に会いに行く事にした。

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君ともう一度 @yuzupon0321

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