第2話 違和感

俺はフリーでプログラマーのようなものをやっている。と言っても、趣味の延長なので、稼ぎはそんなによくはない。

不便もないくらいには稼げてはいるが、ゲームを作る方が楽しい為、生活と趣味と彼女との時間をつくるために平均睡眠時間が3時間。

我ながら狂った生活をしているとおもう。


「つかれたぁぁ。。。。今日はもう寝るかぁ」

時計をみると、深夜3時になりかけていた


「なんだかんだこだわってると、結局この時間まで起きてるんだよなぁ。また遥禾に心配かけちゃうな。」


ブツブツ独り言をつぶやきながら、眠る前にメールのチェックを行う。

ここで仕事のメールが来ていると、結局眠るのが翌日の昼頃になる

昼食時には遥禾のLINEラッシュで強制的に起こされる為、睡眠時間が平均3時間というおかしな生活になってしまうと言うわけだ。


「ん?なんだ?このメール。。。」


『神田様おdわ=?龜haのzきぐtlに月島∅∂≯≥∆≈≪≮℉¶⁇«』

神田(かんだ)というのは俺の名字だ。

月島は彼女、遥禾の名字。

読めるのはそれくらいで他の文字は良くわからない記号になっている。


「なんだろ文字化け?受信した時にバグったかな?まぁ遥禾の名前が入ってる時点で仕事の内容でも無さそうだし、気にすることもないか。」

寝る前の俺は、仕事じゃなければ基本的にすべての事を後回しにしている。

まぁ。。。。それでよく遥禾に怒られるのだが。。。


今日もいつもと同じように特に気に留めることもなく、眠りにつく為にベットへ横たわる。


どれくらいの時間がたったのだろう。。。

俺は気がつくと眠ってしまっていた


明晰夢

夢の中で夢を見ていると認識する現象

俺は今見ているものが夢だと認識していた。

浮こうと思えば浮けるし、大きくなる事も小さくなる事も可能。

たまに見ることがあるが、かなり楽しい。

自分が作ったゲームのキャラを出して戦って見たり、やりたい放題だ。


「いやぁ。。。久々の明晰夢は楽しすぎる♪」

「次は何しようかな。。。遥禾が呼び出せればもっと遊べるのになぁ」


これだけ何でもありの明晰夢でも、俺には現実の人間を呼び出すことだけはできなかった。

他の人ならきっと出来るのだろうが、俺の深層心理でそれは出来ないと思っているからなのか、どう頑張っても人間だけは出せなかったのだ。


「まぁ出せないものはしょうが無い。遥禾のLINEラッシュが来る前に楽しまなきゃな!」


そう思ったとき、瞬間的に俺の意思とは関係なく、場面が変わった。

昔のテレビで映りが悪くなった時に出てくる砂嵐のような、ノイズみたいな塊の中に遥禾が立っている。


いや、遥禾と認識出来る筈が無いくらい酷いノイズなのだが、俺にはそう思えた。


「え?....遥禾?なんで?......あれ?夢だよな?なんで遥禾が出て来れるんだ?。。。あれ?俺起きてるのか?。。。。え?。。え!?」

俺には現実と夢の区別がつかなくなっていた。

起きたくても起きられない。

何をしたら目が覚めるのか

実は既に覚醒していて、今見ているのは現実なのか。

混乱したまま辺りが徐々に暗くなり、俺の意識もそこで消えた。


気がつくと、俺は涙を流しながらLINEの通知音で目が覚めていた。

「なんだ。。これ。。なんで泣いてるんだろ」

俺は状況が飲み込めないままで、LINEの内容を確認する。

『今日はね!ちーちゃんと一食2000円のランチに来ているのです!

悠人もご飯食べた?集中すると何も食べないかね。集中を乱してあげないとw』

いつもと変わらない、ある意味理不尽なLINEが遥禾から届いていた。


「はいはい。ちゃんと食べますよっと。。。ん?ちーちゃんってだれだ?」

遥禾の友達はよく知っているが、ちーちゃんなんて友人は初めて聞いた。

俺が知らないだけなのか?

気になった俺は遥禾にLINEを返した。


『なぁ、ちーちゃんって誰だ?』

『何言ってんの?ちーちゃんだよ!

千里ちゃん!知ってるでしょ!』


「は?知ってる?

千里?ちーちゃん?何言ってんだ?あれ?俺が忘れてるだけ?」


『あぁ、ごめんごめん。ちょっと寝起きで寝ぼけてて、ランチたのしんでおいで!』

俺は混乱したまま、遥禾に心配をかけないように返事を返した。

『あ、寝てたんだ!昨日おそかったの?起こしちゃってごめんね!悠人もゆっくり休んでね。行ってきまーす♪』


「なんかおかしいな。。。やっぱ寝ぼけてるのかな。。変な夢も見たし.....もう覚えてないけど」

ひとまず俺は、目をしっかり覚ますため、シャワーを浴びようと浴室に向かった。


シャワーを浴び、着替え、コーヒーを片手に先程の事を考える。

だが、どれだけ考えても千里なんて子に覚えはなかった。。。。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る