人が心を病むことを、『慰(やす)む』という。
そうした日本中の穢れが潮風にのって集まる島を舞台に、慰(ヤスミ)と呼ばれるあやかしたちを、数百年の時を経て人の姿を得た御神刀、鼓御前(つづみごぜん)が退治する現代和風ファンタジーです。
ヒロインは擬人化した日本刀で美少女。付喪神となって目覚めた御刀さま、鼓御前には覡(かんなぎ)と呼ばれる男性の霊力者がそば付きになる決まりなのですが、なんとその候補者として名乗りをあげるのが、同じ刀であり弟、かつての主、生みの親である刀匠が転生した葵葉(あおば)、千菊(ちあき)、桐弥(きりや)。三人とも前世の記憶をもっているので、それぞれが初登場からすでに鼓御前に対していわゆるクソデカ感情を抱いていて、愛され乙女ゲーム的要素がたまりません。
人の身に不慣れなせいかどこかズレた感覚の鼓御前は、おっとりとした天然で、錆びるからとお風呂場から脱走したり、お茶目なところもある可愛らしい女の子です。庇護欲が駆り立てられるとでもいうのでしょうか。メイン三人の誰と結ばれてもおかしくないですね。誰を推すか悩ましいですが、個人的には鼓御前の前に初めて登場した覡、莇(あざみ)くんが気になります。乙女ゲームだったら、隠しキャラポジションじゃないですか? 莇くん!
学園モノ要素もあり、近況ノートのキービジュアルイラストを拝見したところ、鼓御前の制服が可愛すぎてびっくりしました。巫女さん風セーラー服……素敵だ。
なんだかまとまりのない文章となってしまいましたが、作者様の「好き」が詰まった胸キュン作品です!
付喪神となって人間の少女の姿を得た鼓御前(つづみごぜん)を中心とした和風ファンタジー。
鼓御前は御神刀から人の身になったばかりで、人間世界にまだ慣れておらず、だからこそ彼女の言動はどこか幼く、愛嬌があります。
それでいて、数百年の時を渡ってきた彼女の『刀』としての本質は変わっていません。
(レビュー時の)最新話の時点では、鼓御前は自身を『人の身をもった刀』として認識しているように読み取れます。
それは、他人との距離感がやけに近かったり、他人から向けられる感情に鈍感なところがあったりと、そうした部分に現れていると思います。
すなわち、鼓御前の人の心への理解が、まだ遠いものと解釈できます。
鼓御前が人の身を得て、人の世で生活する中で、彼女が人の何を学び、彼女を愛する人々とどのように関わっていくのか。
それは、彼女が刀の付喪神として、ひとつの心を形成することに繋がり、そして、恋へと結びつくのでしょう。
これは、刀の付喪神が恋を知る物語かもしれません。
『一変して、歓喜に潤む常磐ときわ色の瞳。
肩口にうずめられる顔を、熱い抱擁を、拒否などできるはずもなかった。』
この一節見てください!
すごく惚れ惚れする一節。
甘美なシナリオを、鮮やかに描いた作品です。
主人公は御刀さま、鼓御前。
付喪神として美しき少女の姿として登場します。
しかし、有事の際にはその磨き抜かれた刀身でもって、あやかしや怨霊おんりょうのたぐいとされる〝慰〟を斬ります。
タイトルに『花婿たち」とあるように、主人公を取り巻く男たちが登場します。そのなかでも、青葉時雨は同じく刀の付喪神だった存在で、鼓御前の弟にあたる人物です。
青葉時雨の刀はすでに折れてしまい、そのことから転生の末、人間として生まれ変わったという存在で、言動は多少荒いけれど、姉である堤御前のことが大好きな男の子です。
青葉時雨との口吸いにはどきどきさせられました。
ぜひ、この素敵な和風ロマンスを味わってみてください。
おすすめです!
最初に言っておきます。
閲覧する際は多量のキュンで顔がにやけてしまうので、周囲に人がいないことを確認してお読みください(すごいにやけ顔でレビューを書いています)。
ヒロインは刀の付喪神で、人間に転生したかつての弟刀に溺愛され、夫婦のように連れ添ったかつての主に応急処置のキッ……をされ(照)、そしてさらに彼女に執着する謎の男がもう一人……。こんなに愛されていいのかしら、私←(ちがう)
売ってる乙女ゲームの原作では?と思うくらい、張り巡らされたキュン。まず輪廻転生の部分で尊死なのです。愛は時を超えるのです!!そして人の身体に不慣れなヒロインはちょっと倫理観がズレていて、読者は良い意味でハラハラすると思います。とても良き。
恋愛模様だけでなく、ファンタジーの要素も秀逸です!日本中の穢れが潮に乗って流れつく島が舞台。怨霊の類を御刀さまであるヒロインと契約した弟がぶった切ります!
こちらの作者様の別の作品も拝読していますが、とにかく言葉が美しいのです。特に7話のヒロインと弟が契約するときの祝詞が素敵でした。実際に言葉にした時のリズムが良いと言うか。私の語彙力が足りなさ過ぎて表現できないのが悔しい……。
異世界恋愛も良いですが、現代でファンタジーな恋愛をするのもいかがでしょうか。
最後に、作者様へ。
切実に続きを所望します!