「動画」とか「他の人のレビュー」をみて、なんだ「王道のファンタジー」じゃん。と油断してはいけないです。この物語は「かなり」哲学的な物語です。あ、いや、文章の中でナカナカそう見せないのが、まぁ、作者のうまい所なんですが、「ロゴス」なんて言葉を聞かされたら、そりゃ、まぁ、「哲学」好きだな、この人、って察しがつきますけどね。
多分、着想は「新約聖書「ヨハネによる福音書」第1章」だと思うんですよ。そうそう有名な「はじめに言葉ありき、言葉は神なりき」というヤツです(あってますよね?)。そうキリスト教だと、天地創世は神の言葉、いわゆるロゴスから始まったことになってますからね。もう、この時点で「作者」の世界が「いかに」深いかがわかるのです。
内容も深いんですよ。ほんと。他のレビューではファンタジー部分が強調されていますが、私はこの物語の源流に流れてるのは「哲学」であり「人間賛歌」であるんと思うんですよね。だから、正直「ライトノベル」を読む層にはきつい小説だと思います。
だいたいファンタジー小説に「ペルソナ・ノン・グラータ」なんて使っちゃうんですよ?この小説。こんな「政治用語」「外交用語」知っててニヤリとできる人、限られてるですよ。ほんと「読む人」を選ぶんですよ。
ということで「軽い気持ち」で読み始めると「大やけど」する「本格ファンタジー」。私みたいに「哲学」とか好きな人なら大好物だと思うのですが、人を選ぶ一作だと思います。我こそは!と思う人が「ちょっと」気合を入れて読む感じの作品です。
レビュー時点、まだ第1話が公開されたばかりなので時期尚早かもしれませんが、これは好きな人にはたまらなく好きなジャンルと言えるでしょう。
時代がかった口調の悪玉と、それに立ち向かう美少女ヒロイン。そして、そんな超常バトルの現場にでくわす(当時)一般人主人公。
その後、ナニカされたように表向きの日常生活に戻っている展開を含めてこれは、ゼロ年代を彷彿とさせる現代伝奇モノと呼べるでしょう。
灼眼のシャナや月姫、Dies Iraeなど往年の名作をリスペクトしているかのようで、そういう「未知の世界に足を踏み入れた主人公の物語」が好きな人には安心して読める作品とおすすめできます。
これからの展開にも期待します。