第80話 決着
周囲は帷が落ち、闇が光を隠すが人工的な光輝が辺りを僅かな時間塗り替える。
その状況を呆然と眺める人影が数人。
そのうちの1人が横に並ぶ人物に声を掛ける。
「クルス、どう見る?」
話を振られた白毛を砂埃で汚した紅眼の兎人族、クルスが声を掛けた黒黄縞々の虎人族であるコクウを一瞥すると再度視線を宙に移す。
「どう、とは戦況の事ですかね。それでしたらもちろんリオンさんが優勢で、最後には勝つでしょうね」
「それは俺も確信している。だがそうではない、リオン殿は手を抜いているのか?」
「それこそ私程度が知り得ぬ事だと思いますよ。でもそうですね、確かに観察してる限りですが、ここまでずっと連戦で深手を何度も負っているので万全ではないでしょうね」
それでも私達が受けたら粉々でしょうけどね、と乾いた笑いを溢す。
クルスの指摘に口を開く事を止め、コクウはリオンとの戦闘を再度観察する。
両者の魔法と異能の衝突時の発光を全身に浴び目を細める。
確かに、とコクウは思う。
リオンであれば相手の魔法や異能ごと飲み込む程の威力の魔法を有していると確信している。
それが今は良くて相打ち、殆どが撃ち負け直撃や軽く被弾している状況だ。
そんな状況であれどもクルス的にはリオンが優勢と見るのは身内贔屓も多分にあるが、相手の皇帝直属近衛魔装兵、No.5のエロー・ジョンのコンディションを見た上での判断だろう。
今までの観察をまとめるとエロー・ジョンは元々弟である皇帝直属近衛魔装兵、No.6のコロー・ジョンと2人で真価を発揮するタイプの異能者だったのだろう。
細かい所は不明でも2人の異能の表面的な部分は判明している。
それはコローが【腐食】、エローが【浸食】だ。
そんな2人だが今は弟のコロー・ジョンは先程リオンによって殺された。
真価を発揮できなくなったと思われたが感情の不安定さが影響したのか弟の異能を継承したエロー・ジョンは1人で【腐食】と【浸食】を行使できる異能者になった。
ただ、無理矢理統合したらしく彼女の器の耐久値を上まっているのか、現在彼女の身体は崩壊しながらその猛威をふるい、命の火を散らしていた。
それ故にクルスはリオンが勝つと確信している。
それも決着は早く訪れると見ている。
クルスの言葉と現状を総合的に見てコクウも納得したのか再度2人の行く末を見逃すまいとチカチカと花火の如く輝く空に視線を固定する。
観客から冷静に分析されながら勝利を確信されているリオンはそんな事も露知らず歓喜に包まれていた。
「クハハハハハ!やっぱゴチャゴチャ考えながら殺し合うのはつまんねえよなあ!!こうでなきゃな!!最高だなぁ、おい!」
「しねしねしねしねしねしねしねしね」
「言葉は通じねえが、些事だな。その殺意と力さえあればテメェにはまだ価値がある!!簡単に死んでくるなよ!!!俺を楽しませろ!!もっと!!もっと死力を尽くせぇ!!」
クルスやコクウの考察通り普段のエロー・ジョンの異能は【浸食】で弟のコロー・ジョンが【腐食】である。
より細かく見てみると【浸食】には【流体操作】がある。
【流体操作】には気体、液体、固体、コロイド等々、基本的に全ての物質に効果が発揮される。
しかし普段であれば他者の抵抗値が付与されたモノを操作するのは非常に精神力を使用する。
当然自分より、抵抗値が高ければ操られない。
魔法に関しては発動者から距離が離れる程抵抗値が弱くなり操作し易くなる。
リオンが放つ魔法は本来エロー・ジョンは何度も制御を奪える代物ではないが、今は弟のコロー・ジョンの異能と統合した事である程度リオンから離れた魔法に限っては操作できる様になっている。
そのおかげもあってエロー・ジョンは意識混濁や身体崩壊などの代償として刹那的な能力を獲得し、リオンと拮抗できていた。
自ら放つ浸食と腐食の異能に加え、リオンの制御を奪いベクトル反転するが如く黒槍がリオンの身体を抉り、黒煙が上がる。
どれ程、脚が落ちようとも、腹部が腐食によって決壊しようともリオンはその獰猛な口をより歪ませ、高らかに笑いながら周囲を更地にする勢い、奪いきれない程の魔法を展開しながらエロー・ジョンとの殺し合いを楽しんでいた。
普段の彼女なら、意識混濁してない彼女なら、冷静な彼女であるなら、気付いた致命的な戦況。
今の彼女は憎悪と悲壮、強引な異能統合による副作用、異能解放の超過時間による副作用、様々な要因により正常な判断ができていない。
なので気付かない。
最初であれば腐り落ちる筈のリオンの身体が徐々に腐食速度より回復速度が上回っていること、リオンの魔法制御を奪い、返した魔法がそもそもダメージにすらなっていないこと。
ただそんな事よりも何より残念なのが、この事を当事者であるリオンも感じ取っていない事だった。
時間にして数十分程の戦闘だが、次第に終わりが近づいて来ていた。
「しねしねしねしねしね、しねしねしねしね、しね、しね、しね、、し、、ね、、し、、」
「ハァ、終わりか。まあ楽しめたから良しとするか。気分が良いからな、おい、最後に何か言いたい事でもあるか?」
サラサラと身体を風化させ、崩れていくエローがリオンの言葉にピクリと反応すると視線を上げた。
赤い人型の粘体なので表情が分かり難いがフッと微笑んだ気がした。
そのまま倒れたエローにリオンはオピスに命令した。
「オピス、飯だ。食え」
(わーい!いただきまーす)
「終わったか……」
(なんか砂食べてるみたいであまり美味しくなーい)
(終わったの〜?リオンなんかボロ雑巾みたいだねぇ、キャハハ)
「確かにな。だけど不思議とスッキリして疲労感も感じねえんだよなぁ」
(わたしもなんかスッキリしてる〜。なんて言うんだっけ〜?あっ、でとっくす?ってやつかなぁ)
「デトックスか、確かにと納得しかけたがそんなのやった事ねえから分からねえよ。ただ毒素かどうかは知らねえが身体の何かが抜けた感じがするな。おい、爺は何か分かるか?」
ルプとの会話を切り上げるとリオンはテースタを呼ぶが、音信不通。
呆れながらも粘るのも面倒臭いと思ったリオンは一旦クルス達と合流する事にした。
地面に降りたリオンは周囲を見渡すと先程までかなりの軒数あった筈の場所は更地になっていた。
「はしゃぎすぎたか?アイツ等生きてんのか?」
(ねえねえリオン、死んでたら食べていい?)
「成長したなオピス、俺は嬉しいぞ。あぁ、死んでたら食べて構わねえよ」
「死んでなくてごめんなさいねリオンさん。アナタの攻撃が見境なくなったのを見て脱兎の如く離脱しましたよ」
「さすがウサギだな。他の奴等は生きてんのか?」
「安全な場所に避難させましたよ。ご案内します」
クルスの後に続き暫く歩くと未だにベッドの上で寝ているリノアとエレオノーラを発見した。
更地の上で寝ているのは大分シュールだったが敢えて触れずに他の面々に話を振ろうと口を開く前に前脚から力が抜け頭から地面に激突した。
突然の行動と衝撃にクルス達が驚きリオンに近付き話し掛けてくるが、リオン自身には全く聞こえてなかった。
(なんだ?いま倒れたのか?さい、きん、こんなんばっかだなぁ……眠い、どうなってやがる……意識が、落ちる……。ク、ソがぁ……)
呼び掛け虚しくリオンの意識は完全に切れた。
リオンが起きるのが2日後になるが、目覚めたリオンが聞いた、クルスの話では不気味な程何も起きず、敵襲も無く、人の気配が周囲から消えていたとのこと。
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【内緒話】
「生きてるかーい?ホント君は弱っちいね。いや、いやいやそれは可哀想か。君は頑張っているよ、それでも少し休み過ぎじゃないかな?僕は暇過ぎて退屈でつまらないよ。ねぇホントもう無理なの?おしまいにする?ねえってばぁ、ねえねえねえ」
全身真っ白な女性なのか男性なのか不明な存在、創世神ガイアの分身体が語りかける。
語りかける相手は呼び掛けられたのに反応すらしない。
現在その姿は砂や泥で汚れているがピカピカにすれば綺麗な銀髪で側頭部には黒曜石の如き輝きを放つ2本の角が生やす魔人族の少女イヴ。
未だに目を開けない、反応しない彼女にガイアはため息ひとつ溢すと最後の手段を軽く披露する。
「やれやれ仕方ないなぁ、じゃあこうしよう。今起きたら君が知りたい事をひとつ教えてあげるよ。特別なんだぞ〜?リオンのとっっっっっておきの秘密だって教えてあげられるよ?って、うおぅ、ビックリしたぁ。乙女なのに変な声出しちゃったじゃん」
「早く教えてください!」
効果は覿面でリオンの名前が出た瞬間には意識が覚醒しガイアの目前に迫っていた。
ガイアはそんなイヴを半眼で呆れながら見ていた。
再度ため息を溢したガイアは軽く手を振り目の前にテーブルとイス、お菓子や紅茶を出現させると優雅なティータイムを始めた。
イヴもガイアに促され渋々ながら素直に席に着いた。
「さて、とりあえず現在の君の進捗具合を確認しておこうかな」
「リオンの秘密は?」
「あとでね」
「リオンの秘密は?」
「先ずは進捗からだよ」
「リオンの秘密は?」
「進捗を話したら教えてあげるよ。ただもう一度同じ事言ったら無かった事にするからね」
「……………今はLv.80まで倒せました。Lv.90は5回挑んでまだ一体も倒せていません」
「うんうん、そうだね。いやぁ僕も暇じゃないからね。いつまでも君の世話をする訳にもいかないんだよ。だから時間制限を設けようかと思ってね。なのであと1日だ。あと1日でLv.100まで倒してもらうよ」
「…………わかりました」
「良い子だ。ご褒美に先程言った様に何でもひとつ、君が知りたい事を教えてあげるよ」
「はい!リオンの秘密を是非教えてください!」
「君、ホントにそれでいいのかい?隠し事とかしなさそうなリオンくんなら普通に聞けば教えてくれると僕は思うけどなぁ」
イヴは確かにと思い一旦立ち止まった。
冷静に考えるとなぜこの神にリオンの事を教えてもらわねばならないのかという考えに思い至る。
休みながらガイアに回復してもらった事で頭が回る様になった。
それだけは感謝しつつより深く考える。
この神の今までの話と流れ、意味が無さそうな会話から過去で対峙した際に言われた数々の言葉。
それが現在に繋がっているとしたら、この問いさえもかの神の中では求めている答えがある筈だとイヴは導き出した。
しかし、自分に求める事など共通点としてある異常に執着している愛しのリオンしか思い浮かばない。
さらにその中から重要な事と言えば、アレしかない。
あの言葉が真実じゃなかったら?
嘘を吐く理由は不明だが、どうせ考えても分からないものは分からないとイヴの思考は投げやりに着地した。
俯いたり目を瞑ってぐるぐると考えていたイヴには目の前で口角が上がったガイアが居た事なぞ知る由もない。
バッと顔上げた時には普段通り胡散臭い張り付けた様な笑顔をしていた。
「決まりました!私達が以前魔法国家リンドブルムの首都リーヴァにある冒険者ギルドで会った時、リオンを狙う理由はからかう事だと言ってましたがそれは嘘じゃないですか?真意は別にあると見た!」
ビシッと突き付けた指がガイアに向けられ、そんなガイアは驚愕の表情を浮かべた。
しかしすぐに悪役ムーブで悪ノリし始めた。
「ふふふのふ、バレてしまっては仕方ない!よくぞ我が嘘を見破ったな名探偵イヴくん」
「いや、そういうの良いんで早く教えてくださいよ」
「あ、はい。ちぇ、ノリ悪いなもう。そんなだからチラチラ、どこもかしこも寂しいんだZO⭐︎」
わざわざ口で擬音語を発しながらイヴの全身(胸部9割)を見ながら指摘する。
イヴは既に相手をするのをやめているのでノーダメージを装っている。
追撃しようかと思っていたガイアだったがふと気になる事ができたので意識をそこに集中し、暫くしてニヤリと笑った。
「いやー、丁度良いタイミングでおねんねとは、君も空気を読む事ができる程度には成長した様でお母さん嬉しい」
「……なんの話ですか?」
「ふふふ、こっちの話だよ。気にしないでおくれよ。さてそれじゃサクサクっと本題に入ろうじゃないか。まず結論から言うと以前話した内容は真意だよ、いやその中のひとつだと言うべきかな。あの時点では僕も結果には満足だったんだけど、予想外でもあったんだよ」
ガイアは紅茶を優雅に飲むと話を続ける。
「本来であればあの時のイヴちゃんの攻撃でリオンは死んだ筈なんだよね。なんたってあの攻撃はイヴちゃんの貧弱な攻撃じゃないからね。僕の、神威の力が込められた攻撃だからね。ここでプレゼン上手な僕がこれを君に見せよう」
それだけ言うとパチンと両手を合わせると2人の前にステイタスボードが巨大スクリーンの様に出現する。
それを見たイヴは驚愕に目を見開き、その内容を凝視した。
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[リオン]種族名:アビスキマイラ[新種]
[Lv.96]
[剣術Lv.6]
[短剣術Lv.2]
[槍術Lv-]
[斧術Lv-]
[棍術Lv.5]
[拳術Lv.5]
[弓術Lv.2]
[投擲Lv.5]
[威嚇Lv.MAX]
[威圧Lv.MAX]
[状態異常無効]
[気配察知Lv.9]
[気配探知Lv.9]
[精神分裂]
[念話]
[思考加速Lv.8]
[鑑定Lv-]
[魔力操作Lv.MAX]→[魔力緻密操作Lv.2]
[魔力制御Lv.MAX]→[魔力完全制御Lv.2]
[火魔法Lv.7]
[水魔法Lv.6]
[風魔法Lv.6]
[闇魔法Lv.MAX]
[光魔法Lv.9]
[土魔法Lv.1]
[火属性耐性Lv.9]
[水属性耐性Lv.9]
[風属性耐性Lv.5]
[土属性耐性Lv.3]
[闇属性耐性Lv.MAX]
[光属性耐性Lv.8]
[身体超越化Lv.MAX]
[剛腕Lv.MAX]
[堅牢Lv.MAX]
[自己再生Lv.MAX]→[超速再生Lv.3]
[擬態]
[人化の術Lv-]
[咆哮Lv.9]
[裁縫Lv.2]
[料理Lv.5]
[建築Lv.2]
[曲芸Lv.2]
部位獲得能力
[ラグネリアデーモン Lv.90][新種]色欲
[ガストリアヴァイパーLv.94][新種]暴食
[エンヴィディアルウルフLv.92][新種]嫉妬
[アプレグリーディアリッチLv.89][新種]強欲
[スローテディアスライムLv.75][新種]怠惰
[オルゲイラドラゴンLv.82][新種]憤怒
称号
[人類の天敵]
[殺戮者]
[---]
[インセクトキラー]
[スライムキラー]
[コボルトキラー]
[森の覇者]
[同族喰ライ]
[大厄災]
[大罪喰い]
[金城鉄壁]
[神喰ライ-分体-]
[神敵]
[回生気死]
[朝三暮四]
[イモムシの親]
[異能喰ライ]
[魂食]
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「こ、これはリオンの?」
「そう、現時点でのリオンのステイタスだよ。特別に僕の権限で全てを公開してあげているよ。いや〜それは凶悪だよね。ひとつの生物が保有していい力の限界値を軽く数段ぶち破ってるね。こわいこわい。でもでも、僕が言いたいのはそんな事じゃない。さて、何か気になる所はないかい?」
イヴは険しい顔になりながらステイタスを確認すると口を開く。
「人族が持っていそうなスキルがありますね」
「その通り!魔物の、しかも四足獣のリオンがなぜ剣術とかとか持ってるのか不思議だよね。でも全然不思議じゃないんだよ。彼は以前【強奪者】という称号という名のスキルを所持していたのさ。詳細は省くが条件が揃えば相手のスキルを奪える凶悪なスキルさ」
「確かに以前そんな話をリオンから聞いた気がしますが、今は無いみたいですね」
「そうだね。僕達が削除したよ」
サラッととんでもない事を言うガイアにイヴが何か言う前にストップがかかる。
「神の総意だ」
「…………それで結局何が言いたいんですか?」
「その空気が読める所、リオンにも見習ってほしいね。つまり僕が言いたいのはリオンの器の中には今の魔物の魂以外にもたくさんの種族の魂がごちゃまぜになっている、ということさ。肉体的にも精神的にも混ざりモノの不安定な存在。大きな声じゃ言えないけど、彼こそ真正キマイラと言えるかもね。リオンの身体の中では今でも常に魂の引っ張り合いが起きていて、いつ破裂してもおかしくない風船みたいなものなんだよ。だからね、あの時の攻撃で確実にリオンの精神体は粉々に砕け散り、引っ張られる様に肉体も消滅する筈だった。でも結果はどうだい?重症を負いながらも彼は生きている。僕達はリオンは死の間際、必ず既に狂ってしまった数多の過去の魂を盾にする事で致命傷を回避するだろうと確信していたのさ。でも彼がとった行動は現世の、つまり今の彼本体の魂を盾に過去の魂達を護った。信じられるかい?あの弱虫で卑怯で怠惰で傲慢で強欲で貪欲な奴が自らの存在を盾に既に自我も無いエネルギー体を護ったんだよ?そんな事神ですら予測、いやアレだけ生意気にも予測してたか……」
熱がこもり早口に捲し立てるガイアにイヴは冷めた目を返すが、それに気付かずガイアはヒートアップするが突如何かを思い出したのか表情を落とす。
それもすぐ仮面を付け替える様に再びニコニコ貼り付ける。
「そんなこんなで結果リオンは自らの魂が傷付き、スキルが軒並み下がり、そのタイミングで僕達が動いて【強奪者】を削除し、僕が創世したステイタスボードの閲覧権限である【鑑定】と世界との隔絶を期待して【人化の術】を封印したのさ。まあ【人化の術】に関しては擬態で上手くやってるみたいだけどね。さてこれであの時話した真意は全て語ったよ、満足かい?」
そこまで話をしてくれると思ってなかったイヴは情報過多で頭をフル回転させているが、とりあえず今一番尋ねたい事は決まっていた。
「今でもまだ私にリオンを殺させるつもりですか?そのために私を鍛えているんですか?」
「ふえ?ぷっ、あはははははは。いやだなイヴちゃん、そんな面白い事言わないでおくれよ。君がリオンに勝てる可能性はゼロだよ。どんなに努力しても悪魔に魂を売り渡したとしてもゼロだよ。今のリオンに以前の作戦はもう通用しないし、もうそんな次元の話じゃなくなってるんだよ。その先の内容をイヴちゃんに教える事は無いけど、ひとつだけ今後の大事な事を教えておくよ。さっきも言ったリオンが生きていた理由のひとつに彼の中にある特別な魂の残滓の存在がある。それは初代勇者の魂だ。それはリオンの死を退けた。その魂をイヴ、君が取り込む事で君はより強くなるよ」
「それを聞いて私がはいそうですかと受け入れるとでも思っているんですか?」
「ふふふ、反抗期かな?でもそんなものは関係ないんだよ。世界はそういう風にしか廻らない。僕は世界で世界は僕だからね」
イヴがいくら睨みつけて拒絶感を出してもガイアは全く気にしていない。
それどころかパンッと手を叩き、立ち上がる。
「はーい、休憩終わりだよ。十分休んだからイヴちゃんのためにLv.90から開始でプラス2体追加の8体でいってみよー」
イヴが何か言う前にガイアが即座にゴーレムを錬成しイヴ目掛け襲い掛かる。
罵声を飛ばしながらガイアから離れていくイヴを見ながらニコニコしていた。
遠くの剣戟音を聴きながらステイタスボードを開く。
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[イヴ]種族名:魔人族
[Lv.45]ジョブ:魔剣士
[土魔法Lv.6]
[火魔法Lv.4]
[水魔法Lv.4]
[闇魔法Lv.1]
[光魔法Lv.3]
[身体強化Lv.8]
[剣術Lv.5]
[拳術Lv.2]
[光属性耐性Lv.2]
[闇属性耐性Lv.3]
[魔力操作Lv.4]
[魔力制御Lv.4]
[???]→聖■■■の卵。神の裁定。■■の■■。
【本人含め常時隠蔽】
称号
[魔物性愛]
[創世神の加護]【常時隠蔽】
[合成獣の呪縛]
[初代勇者の子孫]条件達成により獲得
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「ふふ」
キマイラ転生 てつまめ @ryumame
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