初めは静かに白鳥が水面を滑りゆくように始まる。しかし、白鳥は優雅に苦もなく進んでいる中にも不穏な気配がある。水中では必死に足を動かしている。その水中では様々な攻防が繰り広げられている。そういう喧騒が次第次第に姿を現してくる。時に暴力的に、衝撃的に。最後には不覚にも涙が滲んだ。作者は一話から改稿、推敲を進めているのだという。本格的な小説を読みたい方々には自信を持ってお勧めします。私もまた、一話から読み直すつもりです。