第143話 メルが怖い② 更に怒られる
「偉大なる我がマイロード、このアリエス生涯の忠誠を誓います!」
え~となにかな? これ?
別に僕は何もしていないよね?
「え~と、どう言う事?」
「セレナ様は私、このアリエスに神剣を授けて下さいました! それはこの私アリエスを勇者として認めて下さった! そういう事ですよね? ロマーニ教皇様に伝えた所、無事に勇者認定を受けました。それで神剣を授けて下さったセレナ様にお礼と忠誠を誓いに来たのです。それにセレナ様のおかげでカーミラ様の眷属になり、不老不死にもして頂き……そのおかげで教会から『不死身の勇者アリエス』という素敵な字(あざな)を頂きました。 本当にありがとうございました。セレナ様」
「ほら、言わんこっちゃないどうするんだセレナ? 俺『お前にとって失敗作でも、あれ神剣だよな? 聖剣を超える物をあげちゃ不味いんじゃないのか?』と言ったよな? 」
「アークスどうしよう?」
「『メルにまた怒られるんじゃないのか? 俺は知らんぞ』とそれも言ったぞ?」
まずいよ。
メルに散々怒られたのに……またメルに怒られる。
「あははっ、うん、それで良いんじゃないかな? 」
「セ~レ~ナ~く~ん! なんでそういう事言うのかな? この間、私ちゃんと怒ったよね? なんで、あらかじめ教会に話しておかないのかな? 『それで良いんじゃないかな?』ってなにかな?」
「げっ! メル……」
なんでメルが居るんだろう?
僕、気がつかなかったよ。
「ゲッってなぁ~にかなぁ~! その様子だと悪い事したって解っているのよね?」
「俺は今回の件は関係ないぞ! ちゃんとセレナに注意もしたんだ! それでも何も行動しなかった此奴が悪いだけだぞ!」
「普通はそうよね……だけど、アークスって軍神だよね? 神様だよね? 魔族のマモンなら文句は言わない……だけど、神様なら違うよね? それなりに責任がある……」
「違うぞ! セレナは半神半竜……神どうしは不可侵! 警告は出来てもそれ以上は出来ないんだ……悪いなセレナ、それじゃ後でな!」
「アークス、ちょっと待ちなさい!」
「嫌だ、俺は悪くない! それじゃメル……注意仕切れなかったのは謝る! 相手は違う世界の神の血を引く者。 それ以上なにを望むんだ! そういう事を言い出したら、俺以上に保護者のメル、お前が悪いんじゃないか? どうだ!」
「ううっ、それを言われると辛いわぁ~ 仕方ない今回はうん、いいわ! アークスは行っていいわよ! 行きなさい」
「ああっ、それじゃセレナ、またな……」
嘘……
「ううっ、アークス助けて」
「悪いな、今回はどうする事も出来ないな! 自業自得だ! それじゃセレナまた後で……まぁ怒られたあとの愚痴位は聞いてやるから、怒られて来い!」
ううっ、そんなまた僕は怒られるのか。
「セレナ~くん、諦めようね」
「アリエス、君は僕に忠誠を誓っているんだよね? 助けて」
「はい、セレナ様……メル様、そんなに怒らなくても……ヒィ」
「あのねアリエス! 貴方は教会関係者でしょう? 今や魔族や竜族を含み、ほぼ争いは無いのよ? そんななかで、なんで勇者が必要なのかな? 魔王のルシファードとロマーニ教皇がお茶を飲むなかなのよ? ルシファードも丸くなっちゃって、セレナくんに甘いからきっと文句は言わない……ううん、孫みたいに思っているから笑って終っちゃう。だけどね、こんな平和な時代じゃなければ、これで戦争が起きかねないの……教会関係者が解らないのかな?」
「すみません、セレナ様助けられません……確かにそうです! 私が悪かったです……勇者の地位は返上して来ます」
「ううん、もういいわ! もう手遅れだもん……可哀そうだけどね」
「あの……メル様、それはどう言う事ですか?」
「あのね……バンパイアの体に神剣を持つなんて、出鱈目な存在は他にはいないわ……今の時代で良かったわね。 昔なら教会からは悪魔の手先扱いで追われ、魔族側からは神剣を持っているから追われ……この世の中に味方が居ない状態の生き物だわ。今は問題が無いけど、この先魔族と人族が争う世界が起きたら世界の何処にも住めるところが無いわ」
「でも今は平和じゃないですか?」
「あのね、アリエス、貴方は高位のバンパイアなの……今は良いけど遠い未来、仲が悪くなるかも知れないわ。その時どうするか、ちゃんと考えなさい」
「はい」
「あの……メル」
「セレナくん、時間は元に戻せない……貴方でもね! これからは行き当たりばったりじゃなくちゃんと考えて行動してね」
「うん、解った」
「本当に気をつけてね……」
僕は半神半竜でもまだ、子供だから……
ちゃんと勉強しないとやっぱり駄目だよね。
◆◆◆
ああっもう、また胃がシクシクするし.....
もう……どうして良いか解らないわ。
真祖につぐ強いバンパイアの誕生......それだけでも大変なのに、それに神剣まで渡すなんて……
昔なら戦争の火だねになるし、討伐するなら勇者パーティ案件だわ。
そんな存在を作るなんて大変な事なのに……
どうせ、セレナくんがやった事だから、誰も文句言わないのよね......
誰に何を言っても無駄だし。
ムスコン女神もセレスもゼクトも教皇も誰も文句を言わないわ。
もう、何も言わなくて良いのかな……
だけど、常識位教えないと……姉として
本当に胃が痛い。
セレナくんから貰った胃薬飲んで寝よう……うん、もう寝よう。
【カドコミにてコミカライズ連載中 コミック4巻!小説版2巻!絶賛発売中】勇者に全部奪われた俺は勇者の母親とパーティを組みました! 石のやっさん @isinoyassan
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【カドコミにてコミカライズ連載中 コミック4巻!小説版2巻!絶賛発売中】勇者に全部奪われた俺は勇者の母親とパーティを組みました! の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます